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「エグすぎる筋肉」解剖学者が驚愕…井上尚弥“フルトン戦TKO勝利”を生んだ究極肉体のヒミツ「上腕と前腕のサイズ感が変わらないのはすごい」
posted2023/07/27 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
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〈証言1〉
ボクシングという競技の特性に特化した、要はボクシングをするためにできた体
(八重樫東・元3階級制覇王者、トレーナー/Number1053号 2022年6月16日発売)
◇解説◇
モンスターの拳がフルトンを襲ったのは、8ラウンドのことだった。ガードを固めるフルトンに対し、井上は右ストレートからの左フックでダウンを奪う。最後は立ち上がったフルトンに追撃を浴びせTKO勝利を収めた。
八重樫が証言「スーパーマンなのは、リングに上がったとき」
階級をスーパーバンタム級へと上げる挑戦のなかで、井上は元3階級制覇王者の八重樫東をトレーナーとして迎えた。八重樫が日々のトレーニングの中で感じ取ったのは、井上の類まれなボクシングセンスだった。
「前の手と前の足を同時に動かすボクシングは、日常生活の中ではしない不自然な動きなんです。反復練習によって、できるようになる。尚弥はボクシングを幼少のころからやってきたので、そうした神経系統の伝達率が高い。それに加えて、ボクシングの練習を通して筋肉もつけてきました。ほかの競技をやらせても、たぶん人並み。スーパーマンなのは、リングに上がったときだけですね」
一般人からすれば“超人”のように感じられる井上を、あえて「人並み」と表現する八重樫の証言は、ボクシングという競技を極限まで突き詰めた男への最大限の賛辞でもあるのかもしれない。
解剖学者も驚愕「繰り返すことでついてきた筋肉」
〈証言2〉
実際のボクシングの動きを繰り返すことでついてきた筋肉
(町田志樹・解剖学者/Number1053号 2022年6月16日発売)
◇解説◇
井上の肉体の凄さについては、ボクサーだけでなく“人体のプロ”も太鼓判を押す。大学で解剖学を教える町田先生は、「なぜ井上尚弥はKOを量産できるのか?」という疑問に、“筋肉の最適化”という視点で回答する。最適化とはつまり、ボクサーとして極めて洗練された筋肉を備えているということだ。
「バランスがいいと言われますけど、すべての筋肉が等しくあるわけではないんです。ボクサーとして何でもできる、そして結果を出すための身体づくりなんでしょう。実際のボクシングの動きを繰り返すことでついてきた筋肉だと思います」