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「最初の数ラウンドは私のミスだった」敗者・中谷潤人トレーナーが告白した“2つの誤算”…「10Rのバッティングではない」井上尚弥の“想定外だった”右アッパー 

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posted2026/05/09 11:05

「最初の数ラウンドは私のミスだった」敗者・中谷潤人トレーナーが告白した“2つの誤算”…「10Rのバッティングではない」井上尚弥の“想定外だった”右アッパー<Number Web> photograph by TOKYO SPORTS/AFLO

12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。左目から出血しながら戦う中谷

 10ラウンドの偶然のバッティングで中谷の左目上が切れたとき、海外実況席は「なんという残念なことか。ナカタニはどんどん良くなってきているのだから」と嘆いた。誰の目にも、このバッティングが流れを止めたように見えた。

 だが、ルディの見方は違った。米記者スティーブ・キム氏のインタビューでこう認める。

「流れを断ち切ったのは10ラウンドのバッティングではない。流れを断ち切ったのは11ラウンドなんだ。右アッパーカットを左目に被弾して、ジュントは眼窩底骨折を負った」

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 別のLittle Giant Boxingのインタビューでも、ルディは同じ認識を示している。

「イノウエが本当に鋭い右アッパーを当てた。それがジュントの眼窩底骨を折った。イノウエは王者の仕事をしたんだ」

 ここに、「第2の誤算」があった。ルディは来日前から、井上のスピードと目を最も警戒していた。「イノウエが見たところにパンチが当たる」「パンチを蓄積させて相手を仕留める」と、その危険性を理解していた。

 それでも勝負どころの11ラウンド、井上はそのスピードとタイミングで右アッパーを突き上げた。事故でも偶然でもない。ルディが最も警戒していた井上そのものだったのだ。

 中谷陣営には、確かにプランがあった。そのプランは一度、井上を揺らした。9、10ラウンドで中谷は流れを変え、海外実況席もそれを感じ取っていた。

 だが、序盤の慎重さが代償になった。そして11ラウンド、井上尚弥はルディが最も警戒していた“スピードと目”で試合を引き戻した。

 試合後、ルディは言い訳をしなかった。

「言い訳はない。我々はより優れたファイターに負けた」

 そして井上を「やはり世界最高のボクサー」と称えたうえで、Little Giant Boxingのインタビューで最後にこう言った。

「イノウエ、ぜひ再戦をください。そのときにジュントはもっといい試合をすると約束する」

 ルディが待望する再戦は実現するだろうか。

<全3回/第1回第2回から続く>

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「もしイノウエにKOして勝てたなら、翌日に死んでもいい」敗者・中谷潤人トレーナーの“異変”…「日本メディアを警戒していた」取材記者が見た井上尚弥戦のウラ側
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