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「もしイノウエにKOして勝てたなら、翌日に死んでもいい」敗者・中谷潤人トレーナーの“異変”…「日本メディアを警戒していた」取材記者が見た井上尚弥戦のウラ側
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoki Fukuda
posted2026/05/09 11:03
12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。中谷陣営が語った“2つの誤算”とは?
そもそも村野健会長と中谷が記者会見のスタートを待っていたとき、ルディは席に座ろうとしなかった。報道陣が待つ後ろで「私は会見に出なくていいよ」と出席をためらっていたのだ。
それでも周囲に促され、ルディも着席した。だが、記者会見のなかで「ルディトレーナーは中谷選手のどんなところに注目してほしいと思いますか」と質問されると、少しぎこちない笑みを浮かべながらこう答えた。
「勝利のカギは結局、やるべきことをやり切れるかどうかだ。私はいつも同じことを言っているでしょう。同じ話を聞くことになるのに、なぜ皆さんが私を会見に呼びたがるのか、正直私には分からないよ」
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この日、大橋ジムからは大橋秀行会長、井上真吾トレーナー、さらに3人のトレーナー陣が訪れていた。異例ともいえる5人態勢での敵情視察だった。加えて、会場には100名近い日本メディアがいた。
だからだろう、ルディの言葉は徹底して慎重だった。
「(井上戦では)距離感が大事ですね?」と問われても、「長い距離かもしれないし、インファイトかもしれない」と答える。「試合展開の構想は?」と聞かれても、「ゴングが鳴って試合が始まるまでは分からないよ」と繰り返す。
ルディは、試合前に手の内を明かすことを避けているように見えた。それは徹底的な情報管理のようだった。
「もしイノウエにKOで勝てたら、翌日に死んでもいい」
しかし、じつはルディは米メディアの親しい記者にはかなり具体的なプランを話していたのだ。そこから中谷陣営の本音が読み取れた。
まず、米『Boxing Scene』のランス・パグマイア記者による記事(4月15日付)だ。ルディは井上尚弥を「現在世界最高の選手」と認めながらも、こう言い切っていた。
「イノウエをリスペクトすることと、試合が始まって彼の頭を吹き飛ばしに行くことは別だ。私たちは勝つこと以外では満足できない」


