ボクシングPRESSBACK NUMBER
「もしイノウエにKOして勝てたなら、翌日に死んでもいい」敗者・中谷潤人トレーナーの“異変”…「日本メディアを警戒していた」取材記者が見た井上尚弥戦のウラ側
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoki Fukuda
posted2026/05/09 11:03
12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。中谷陣営が語った“2つの誤算”とは?
さらに、中谷のアドバンテージとして、身長173cm(井上165cm)、リーチ174cm(同171cm)、そして若さ28歳(同33歳)を挙げている。そのうえで勝負を分けるポイントをこう整理していた。「どちらが先に当てるか。どちらが速いか。どちらがパンチを受け切れるか。そして、イノウエがリングで見せるすべてにジュントが反応できるか」。ルディはその核心を、短い言葉で表現していた。
「タイミングがすべてだ」
ルディが描いていたのは、単純な「ジュントの左を当てる」というプランではない。井上の動きに反応する。井上より先に実行する。井上の距離とタイミングを外す……そのうえで、中谷のサイズとリーチを生かす。そういう複合的な勝ち筋だった。実際にパグマイア記者は取材の日、中谷が素早いポジション取りおよびパンチドリルをこなすのを目撃している。
ADVERTISEMENT
そしてルディの覚悟は尋常ではなかった。同じ『Boxing Scene』の記事でこうまで言っているのだ。
「もしジュントがイノウエにKOして勝てたなら、翌日に死んでもいい。人生に何も悔いはない。私がなりたかったもの、成し遂げたかったこと、そのすべてを達成したことになる」
アメリカ的な誇張を含む表現ではあるのだろう。だが、彼にとってこの試合が単なる世界戦ではないことがにじんでいる。
さらに『Ring』誌の記事では、もっと深く戦術について話していた。

