サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「常に恐怖感」降格危機→UEFA大会出場権獲得のナゼ…ベルギー1部クラブ日本人CEO立石敬之が明かす「問題が生じたのは一度、二度ではないですが」
text by

佐藤景Kei Sato
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2026/05/10 11:04
25−26シーズンのSTVVは伊藤涼太郎らの活躍もあり、ベルギー1部で上位争いを繰り広げた
「以前、日本にいるときはヨーロッパのトレンドを見て、それに適応しようと考えていました。しかし私たちのような小さなクラブは、相手の意表を突く存在にならなければ生き残れません。8年前、クラブ経営はもちろんのこと、日本人がプレーすることを疑問視する声もありました。ですが、今では各クラブが日本人選手を探しています。
ベルギーリーグには現在、25人ぐらいの日本人選手が在籍していて一つのトレンドになっている。日本人は学ぶ姿勢が強いですし、学ぶ力もありますが、同じ土俵で戦っているだけではいけないのだと思います。今までのトレンドを壊しに行く存在にならないといけない」
問題が生じたのは一度や二度ではないが
CEO就任当初はクラブ内外で異端視され、実際に衝突も絶えなかったという。もちろん、ベルギーに根付く伝統や歴史は学びながらも、単純に迎合することだけはしなかった。選手の獲得の際に「この選手は何のためにクラブに来るのか?」を考えることと同様に「自分自身が何のためにここにいるのか?」と考えながら、スタンスを変えずに進んできた。
ADVERTISEMENT
「考え方が違うスタッフもいましたし、問題が生じたことは一度や二度ではありません。事実としてクラブを去ったスタッフもいます。ですが、同じ志を持って仕事に当たってくれる現地のスタッフたちもいました。今、一緒に働いているスタッフは本当に信頼しています。私たちが今あるトレンドを打ち破って、トレンドを作る側に回らなければ、一生、日本のサッカーがヨーロッパのサッカーを追い越すことはできません。はっきり言えば、彼らに勝つためにわれわれはここにいるということです。
STVVの予算はブルージュやアンデルレヒトの半分以下で、そんなチームがどうやって勝つのかを考えるとき、やはりオリジナルのものを作っていかないといけない。例えばチーム力を表すデータを見たときに、すべてでトップを目指すのは無理でしょう。でも、その中で何が一番われわれにとって大事なデータなのかを見極めて、そのデータでトップを狙うことはできると思っています。それが大きな力になっていく。この考えはクラブで共有できています」
8年前、ベルギーリーグで外資が投入されているクラブは数えるほどだった。しかし今はおよそ半数のクラブに外国の資本が入っている。リーグが毎年発表するファイナンシャルランキングのトップ3に名を連ねるSTVVの成功が影響しているのは間違いない。その経営手腕に注目し、立石CEOの元を訪ねてくる関係者も後を絶たないという。
森保監督招聘を考えていた…真意は?
ただ、立石CEOの視線はすでに次なる目標へも向けられている。日本でも森保一監督の招聘を考えていたという発言が話題になったが、日本人指導者やスタッフの海外組を増やしたいという強い思いがあるのだ。
〈つづきは下の【関連記事】第4回へ。STVVのCEO就任以来、掲げてきたこの3つ目の目標について掘り下げる〉

