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「井上尚弥をKOしたら中谷潤人を1位に推したよ」井上尚弥“PFP1位”満場一致の舞台裏…米リング誌選考委員が明かしたメール投票の一部始終
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/08 06:02
米リングマガジンのPFPランキングで3度目の1位に返り咲いた井上尚弥。過去とは違い、選考委員の票は割れなかった
筆者も選定委員を務めるリングマガジン・ランキング選定委員会の最新会議は米東部時間3日の午前4時頃、チェーンメールでスタート。まずは通例通り、新ランキングの叩き台を提示する英国のアンソン・ウェインライト氏が井上の1位を提案した。
すると米国のダグラス・フィッシャー編集長、アダム・アブラモビッツ氏、ブライアン・ハーティ氏、エイブラハム・ゴンサレス氏、英国のガレス・デイビス氏、トム・グレイ氏、豪州のベン・デイモン氏、南アフリカのドロークス・マラン氏、アルゼンチンのディエゴ・モリーリャ氏などが同意。東京ドームで井上対中谷戦を現場取材した私も、もちろん異論はなかった。
唯一、「私もイノウエが2位でいいと思う」と記したのがタイのワシーム・メイサー氏だった。当然オレクサンデル・ウシクが依然として1位という考え方があるとしても、話の流れからすると書き方がどうも腑に落ちない。一応、本人に確認すると案の定、「あれはタイポ(書き間違い)だった」という返答が返ってきた。
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その後、メイサー氏は全体のチェーンメールにも「あれはタイプミス。イノウエを1位とすることで問題ない」と投稿。真相に納得したが、この時点でそれを気にしているのは「満票かどうか」を確認したかった筆者だけだったのかもしれない。1人、2人が異論を唱えたとしても、論議には発展しようがないほどに順位づけは明白だった。
ランキング選定委員のチェーンメールには現在23人が名を連ねており、米東部時間午後の時点で最新のランキングに反応したのは12人(注・スケジュール、時差などの都合もあり毎週全員がコメントするわけではない)。結果、その全員が井上1位をサポートし、“モンスター”の昇格が満場一致で確定したのだった。
過去2度の「1位」は意見が割れていた
井上は過去2度、PFP1位に立った経験があるが、それらの選考時には少なからず意見は割れた。特に初めてトップになった2022年6月は印象深い。ノニト・ドネアとの再戦で圧倒的なKO勝ちを収めた井上、敵地での試合を勝ち続けてクルーザー&ヘビー級を制したオレクサンデル・ウシクのどちらを上にするかでパネリスト間で大論争に発展。一時は4-4のタイで並び、最後はフィッシャー編集長が最後の1票を井上に投じて順位が決まるという経緯を辿った。
その直後、単独インタビューで話を聞いた際、井上は「バンタム級(当時)の日本人である自分が1位になれたことは誇らしい」とは述べつつ、まだ完全に納得したわけではないことを強調していたことが懐かしく思い出される。
「考え、評価は人それぞれありますからね。1票差ですよね? 真のNo.1だとは今でも全然、思っていないです。1票差だったのを、その差をどんどん広げられるようなパフォーマンスができたら、本当に胸を張って自分がNo.1だと言えてくるんじゃないかと思います」


