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ボクシングPRESSBACK NUMBER
実は中谷潤人が「井上尚弥のリターンが速くて前に出られない」と漏らしていた…同門の元世界王者が見た世紀の一戦「それでも潤人の評価は落ちない」理由
posted2026/05/07 06:02
中谷潤人はなぜ終盤まで積極的に前に出なかったのか? 真相を元ルディ門下生でもある伊藤雅雪氏が読み解いた
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
同じルディ門下生の先輩にあたる伊藤は、17歳の頃から中谷潤人を知るからこそ、厳しい目になることも多い。昨年12月のセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)戦では「僕の採点では潤人が負けていた」と話していた。それは大きな期待の裏返しでもある。今回の一戦を東京ドームのリング近くの関係者席で見守っていた元世界王者のプロモーターは、はっきり言う。
「負けても、評価を落とす内容ではなかった。中間距離で井上尚弥とあそこまで渡り合える選手は、どこを探してもいません。相性も抜群に良かったと思います。尚弥があれだけの緊張感を持って、ずっと戦い続けないといけなかったんですから」
序盤は「行きたくても、行けなかった」
長身サウスポーの特徴を生かし、広いスタンスを取りつつ、オーソドックスの井上を簡単には懐へ飛び込ませなかった。ただ、4ラウンドまでは、ほとんど自ら仕掛けていない。スコアシートを見ると、三者のジャッジがいずれも、井上にポイントを振っている。
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「あれほど手を出さなければ、ポイントを取られても仕方ないです」
試合後の会見では中谷自身が井上の学習能力の高さを警戒し、慎重に戦っていたことを明かしたが、それだけではないのかもしれない。スーパーフェザー級で世界戦を経験してきた伊藤は、リングの上に立つボクサーの心情もよく分かる。
「行きたくても、行けない。パンチを出したくても、出せなかったんだと思いました」
試合後、ルディ、岡部大介の両トレーナーから話を聞き、すとんと腹に落ちた。

