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海外関係者「イノウエのパワーは落ちている」の声も…井上尚弥の“絶対王者ぶり”に元ルディ門下生が語る「ルディも『中谷潤人よりコンマ数秒速かった』と」
posted2026/05/07 06:01
善戦した中谷を井上が上回った要因とは? ルディトレーナーをよく知る元世界王者・伊藤雅雪氏が分析する
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
リングに近い関係者席に座る伊藤は、これまでにない高揚感を覚えた。国内外のビッグマッチを数多く観戦してきたものの、5万5000人が詰めかけた東京ドームの異様な雰囲気に圧倒された。ぴんと張り詰めた空気に包まれるなか、元世界王者、プロモーターである前に一人のボクシングファンになっていたという。
「井上尚弥、中谷潤人、どっちが倒れるのも見たくない。答えが出てほしくないって。この気持ちがすべて。見ている人たちに、それだけの興奮、期待感を与えられるイベントだったなと」
あっという間に過ぎた12ラウンド。判定の結果には少し驚いた。2者のジャッジが116-112、残る1者は115-113の2ポイント差で井上を支持。伊藤の想定以上に競っていた。近い距離からじっと目を凝らして見ていたが、ほとんどのラウンドで優勢だったのは井上。伊藤の採点は117-111だった。ラウンドごとに中谷をわずかでも上回り、ポイントを手繰り寄せているように見えた。2人の差はどこにあったのか。
ルディも「井上のほうが速かった」と
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「スピードが違いました。動き、反応、パンチの速さは(井上)尚弥がひとつ上だったと思います。相手の攻撃をかわし、リターン(返しのパンチ)を繰り出すハンドスピードは顕著。(中谷の)トレーナーのルディ・エルナンデスも話していましたが、『井上のほうがコンマ数秒、速かった』って。やっぱり、井上に勝つのは難しかったな、というのが率直な感想です」
井上は打ち終わりを狙われても、上体をそらすスウェーバックでうまくかわしていた。試合前の予想よりも距離が一歩近い。それでも、173cmの長身サウスポー相手に中間距離を維持し、出入りのボクシングを貫いた。165cmの王者は最初から最後まで致命打をもらわず、集中力を保ち続けていた。これは並大抵ではないという。


