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井上尚弥には「つけ入るスキがあった」激闘から40分後…中谷潤人陣営がこぼした“意外なホンネ”「井上を神格化していなかった」敗者中谷の“本気度”
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/05/06 17:01
井上尚弥との激闘の後、満身創痍の中で取材に応じた中谷潤人。そこでは陣営から意外な胸中も語られた
動の王者と、静の挑戦者。チームとしての戦いという視点に立つと、そんな構図が浮かび上がる。
饒舌なトレーナーのルディ・エルナンデスでさえ、公開練習での質疑応答にはうんざりした様子で口をつぐんだ。中谷陣営は不気味な静けさを保っていた。ともすれば、「覇気がない」と受け止められかねないほどに。
公開計量で「変わった」中谷の印象
その印象が一気に裏返ったのが、5月1日に後楽園ホールで行われた公開計量だった。
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井上の肉体は完璧に仕上がっていた。一方の中谷も、胸板や肩周りの厚みが増している。スーパーバンタム級への適応は明らかに進んでいた。
フェイスオフを終え、両手でがっちりと握手をかわした直後――中谷が両腕を上げ、客席に向かって吠えた。これほど昂ぶった中谷を見たのは初めてだった。ここに至ってようやく確信することができた。井上を前にしても、中谷はまったく萎縮していない。それはチームも同じだった。
計量の裏で行われたルールミーティングでは、中谷陣営のハンドラッピング(バンデージ)の巻き方に対して井上陣営が異議を申し立てていた。拳の“アンコ”の部分を保護するためにガーゼを丸めるルディの手法が、JBCの定めるルールに抵触しているのではないか、という指摘だった。レコーダーを差し向けると、ルディは怒りをあらわにした。
「35年間このやり方で巻いてきた。ハンドラッピングの目的は手を保護することだ。それはパンチを強くするものではない」
そして“Fワード”を交えながら、こう宣言した。
「私たちはイノウエを徹底的にぶちのめすつもりだ」

