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井上尚弥には「つけ入るスキがあった」激闘から40分後…中谷潤人陣営がこぼした“意外なホンネ”「井上を神格化していなかった」敗者中谷の“本気度” 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2026/05/06 17:01

井上尚弥には「つけ入るスキがあった」激闘から40分後…中谷潤人陣営がこぼした“意外なホンネ”「井上を神格化していなかった」敗者中谷の“本気度”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

井上尚弥との激闘の後、満身創痍の中で取材に応じた中谷潤人。そこでは陣営から意外な胸中も語られた

 4月20日の公開練習での出来事だった。サンドバッグを叩き終えた井上の目線の先には、視察のために大橋ジムを訪れた村野会長がいた。

「包み隠さず全部やりました!」

 100人を超える報道陣からどよめきと笑いが起こる。村野会長は「まいったな」とでも言いたげな笑みを浮かべて、大橋秀行会長と握手をかわす。この光景をどう捉えるべきか、考えをめぐらせる。井上の余裕の表れか、盤外戦の一環か、あるいはメディアを意識したサービストークか。

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 思い返してみると、2025年3月31日の年間表彰式で中谷に対戦を呼びかけたその瞬間から、アクションを起こしていたのは常に井上だった。

「心理戦」で優位だったのは井上サイド?

 同年9月14日に名古屋でムロジョン・アフマダリエフを圧倒した直後にも、念押しをするようにリング上から「中谷君! あと1勝、お互い頑張って来年東京ドームで盛り上げましょう!」と声をかけている。

 言い換えれば、中谷陣営は常に受け身だった。井上の公開練習後の囲み取材では、大橋会長の「(中谷が)どうやって出てくるか、9割方わかっている」という発言もあった。井上サイドが心理戦を主導している――そんな印象を受けた。

 4月23日に行われた中谷の公開練習でも、同様の空気を感じた。

 大橋会長、井上真吾トレーナーをはじめ、井上陣営の5人が橋本のM.Tジムにやってきたのだ。真っ赤なTシャツを着た長身の鈴木康弘トレーナーの存在感が際立っている。「この人数は異例だよね……」と記者たちが声をひそめる。

「出方は大橋会長が『9割方わかっている』と言っていたので、それでいくんじゃないかなと」

 中谷はいつも通りの笑顔で“9割発言”を受け流した。そしてTシャツを着たまま、淡々と3ラウンドの公開練習をこなした。

 半裸になり、湯気が立つほどの熱量で「包み隠さず全部やった」井上のそれとは真逆の印象だ。そして、M.Tジムでの公開練習のあとも大勢の記者に囲まれた大橋会長とは対照的に、村野会長に話を聞く記者の数は限られていた。

【次ページ】 公開計量で「変わった」中谷の印象

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