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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「序盤の出遅れが命取りに」中谷潤人の“井上尚弥攻略プラン”は正しかったのか?「もっと早く攻めていれば…」試合直後、英記者が策士ルディにぶつけた疑問
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/04 11:52
井上尚弥に判定負けを喫した中谷潤人(28歳)
ナカタニはもう少しアグレッシブでもよかったとは思う。あの戦術をとった背景をトレーナーのルディ・エルナンデスに尋ねたところ、「まずイノウエのパワーや危険性を見極める意図があった」ということだった。その上で8回か9回あたりに『このままではKOしないと勝てない』と伝えたと言っていた。そこでナカタニの緊急性が高まり、ペースを上げて前に出た。
イノウエを下がらせ、何度も身体を揺さぶる場面もあり、かなり成功していた。だとすれば、もう少し早く攻めに出る方向性もあったのだろう。
ただ、それを実際にやっていたらどうなっていたか?
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イノウエがよりシャープで力もある状態の序盤に出れば、逆にダメージを与えられていた可能性もある。イノウエは非常に優れたカウンターパンチャーだから、リスクを取ればタイミングを合わせられてしまうかもしれない。
11回に示した通り、“モンスター”のタイミングは抜群で、一発で流れを変えることができる。だから周囲の我々は「もっと早く攻めれば」と簡単に言えるが、実際に戦う側やトレーナーにとっては難しい判断だ。ナカタニの陣営は12ラウンドを通した戦略として攻めるタイミングを見ていたということ。そのやり方で拮抗した戦いには持ち込んだが、勝利には届かなかったということなのだろう。
中谷にとって不運だったバッティング
もう一つ、大きな分岐点として、第10ラウンドにナカタニが激しいバッティングで出血したことが挙げられる。最も勢いに乗っていたタイミングでアクシデントが起きたのはナカタニには不運ではあった。ボクシングではああいうことが起こり得るが、あれが試合の流れに影響したのは事実であり、あの中断がなければどうなっていたかは興味深い。
ナカタニの勢いはあそこで落ちた。出血して視界にも影響が出れば、どうしてもリズムは崩れる。11回にイノウエのパンチを浴びたことに直接関係したかの判断は難しいが、重要なターニングポイントであったのは事実だろう。


