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「序盤の出遅れが命取りに」中谷潤人の“井上尚弥攻略プラン”は正しかったのか?「もっと早く攻めていれば…」試合直後、英記者が策士ルディにぶつけた疑問 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/05/04 11:52

「序盤の出遅れが命取りに」中谷潤人の“井上尚弥攻略プラン”は正しかったのか?「もっと早く攻めていれば…」試合直後、英記者が策士ルディにぶつけた疑問<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

井上尚弥に判定負けを喫した中谷潤人(28歳)

 とはいえ、そこまで含めたすべてを振り返り、やはりイノウエの実力がナカタニをわずかに上回っていると結論づけて問題ないとは思う。今では55:45くらいの僅差かもしれないが、この試合の中でもその差は見えた。

 競馬で言えば“ハナ差”で勝つ馬のようなもので、イノウエは勝ち方を知っている。もう12年くらいトップでやってきたわけで、長く王者として君臨してきた経験がある。その“勝ち切る力”が今夜の差だった。

 エリートレベルのチャンピオン経験、その部分でイノウエが一歩上にいた。33歳でそれをやってのけるのは驚くべきことだ。現時点では、イノウエが世界最高のボクサーであり、日本史上最高の選手だと思う。

「中谷は過大評価されている」という声

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 一方で、この試合の中で、ナカタニもまた本当にトップレベルだということを示したとも考えている。後半ラウンドの修羅場の中で、頭がぶつかるという不運があり、11回にはアッパーを目にもらい、その後は物が二重に見えていたとも聞いている。試合後の診断で左眼窩底骨折が発覚した。

 そんな逆境に直面しても、真の強者らしく最後まで戦い抜いた。ナカタニはまだ全盛期にいるし、これからが全盛期とも言える。今後も素晴らしいキャリアを築くはずだ。イノウエ自身も会見で「ナカタニはまたチャンピオンになる」と話していた。間違いなく偉大なファイターだ。

 信じられないかもしれないが、欧米では「ナカタニは過大評価されている」という意見があった。そう言っていた人たちは、イノウエとの戦いを見てどう思うだろう? ナカタニは紛れもなくパウンド・フォー・パウンド・ランキングに入るべき選手だよ。

 イノウエとの再戦が実現するかはわからない。33歳になったイノウエは残された時間も限られてきているし、自分のやりたいことをやりたいだろう。それだけの権利を勝ち取っている。リマッチがあろうとなかろうと、ナカタニのキャリアにはまだビッグファイトの機会が幾つも残っている。この試合で評価をさらに高め、胸を張ってリングを降りたナカタニの行手には依然として明るい未来が広がっていると思う。

〈つづき→井上尚弥編

#2に続く
「イノウエも予想外だったのでは…」井上尚弥に“誤算”はあったのか? “PFP1位”に票を投じた英記者が、それでも中谷潤人戦に“A評価”をつけなかった理由

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#井上尚弥
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