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武尊34歳“美しいラストマッチ”のウラで…敗者ロッタンの異変「ONEとのトラブル、張りのない身体…」不安と格闘した武尊とは対照的だった“心の緩み”
text by

布施鋼治Koji Fuse
photograph byONE Championship Susumu Nagao
posted2026/05/02 11:35
悪夢にうなされ、不安と格闘しながらラストマッチで圧巻のパフォーマンスを見せた武尊。一方、敗れたロッタンには“異変”があった
さらに武尊は試合が近づくにつれ、毎晩のように悪夢にうなされたことを打ち明けた。
「試合前は弱音を吐きたくなかったので言わなかったけど、毎日自分が失神している夢とか、足の骨が折れている夢とか見ていて……。ホント怖かったんですよ。みんなの期待を裏切っちゃうな、とか。だからもう、生きて帰れてよかったな、と」
以前にも武尊は筆者に「夜中に不安になって飛び起きて、走りに行くこともあった」と語ったことがある。「必ず勝つ」「絶対KOする」という宣言の裏には、いつも不安と格闘する武尊がいた。
ONEとのトラブル、張りのない身体…ロッタンの異変
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一方、ロッタン側からみると、今回は“いわくつきの一戦”だった。試合2週間ほど前になって、ロッタンがFacebook上でONEとの契約内容に異議を唱えたことに端を発し、団体側が契約違反で訴訟を起こす事態となったからだ。一時は「武尊との再戦もボイコットするのでは?」という噂も流れた。結局、双方の話し合いのもと、タイで会見まで開き事態は収拾した。会見でロッタンは「武尊との試合には出る」と約束していた。
ロッタンは実績こそ申し分ないが“問題児”の側面を持つファイターだ。以前から計量オーバーやハイドレーションテストでの失格をたびたび起こしている。今回も同じ失敗が危惧されたものの、それは杞憂に終わる。しっかりと体重は作ってきたのだ。
もっとも「今までで最高のコンディション」と自信を持っていた武尊と比べると、ロッタンの身体の張りは今ひとつ。うがった見方かもしれないが、「強くなるためというより、減量のための練習しかしてこなかったのではないか」と勘繰りたくなるほどだった。
案の定、この日のロッタンのパンチやキックには以前のような爆発力が感じられない。打ち合いになっても、明らかに分が悪い。2ラウンド、右フックの打ち合いから武尊の返しの左フックで先制のダウンを奪われた場面などまさにそうだった。
ロッタンは「ダウンじゃない」とレフェリーに抗議したが、パンチによるダメージは明らかだった。こんな彼の姿は見たくなかった。ブアカーオという別格を除けば、ロッタンは近年のムエタイの中で最も成功した選手だ。武尊との初戦ではKO賞のボーナス(約750万円)も合わせ、日本円にして7000万円以上のファイトマネーを手にしたという報道もあった。


