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中谷潤人に負けたボクサーの異変「“効いてない”のに、ドロっとした血尿が…」望月直樹が試合後に知った“中谷の本当の強さ”「何回やっても勝てない」
posted2026/05/01 11:07
望月直樹が中谷潤人と対戦した2019年2月2日の日本フライ級王座決定戦。試合中には気づかなかったもの、体には深いダメージが刻まれていた
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
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2012年、社会人1年目の夏。横浜光ジムに通い始めた望月直樹は、日々成長し、強くなっていることを実感できた。次第にボクシングにのめりこんでいく。
「パンチを打つ動作は野球の投げる、打つに似ているから。おまえ、見込みあるぞ」
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横浜光ジム会長の石井一太郎からそう言われた。
確かに、教わった腰の回転や体の動きがすぐに実行できた。実戦でも綺麗にパンチを打ち込める。俺、強いのかな……。そんなことを思う日もあった。出来ない動きがあると、待てよ、こうしたらいいのかな、と、どんどん発想が湧いてくる。昨日より今日。今日より明日。日々、強くなっている自分がいる。それは野球のときには経験のない感覚だった。野球は楽しいと思えなかったのに、ボクシングにはときめいた。
「この世の終わりのような顔をしていました」
ジムに入門してから1年3カ月でデビュー戦に挑んだ。2戦連続KO勝利を収めると、ボクシングに専念するため、仕事を辞めた。俺、いけるんじゃね? 5戦全勝4KOで東日本新人王戦の準決勝を迎えた。だが、無敗対決で仁平宗忍に判定で敗れた。
急転直下、真っ逆さまに気持ちが落ちていく。ボクシングの負けは野球の負けとは違った。1敗がものすごく重かった。
ボクシング会場で、母はいつも一人で観戦していた。知人も応援してくれるが、どうしても一人になって試合を見たかった。あの負けた日の息子の表情が忘れられない。
「この世の終わりのような顔をしていました。辞めようかな、と話していたから、翌日、食事に誘って慰めたんです。何から何まで人生のすべてをボクシングに懸けていましたから」
これだけボクシングにのめりこんだのに、また燃え尽きずに辞めるのか……。それは違うな、と考え、望月は再起を決めた。

