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「事故があったらどうするんだ」18年前、逆風から実現したジュニアボクシング大会に“未来のモンスター”が現れるまで「群を抜いて凄い子がいる」
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二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHideki Sugiyama(L)/NumberWeb(R)
posted2026/04/29 11:01
5・2に東京ドームで激突する井上尚弥と中谷潤人を輩出したジュニア大会創設への苦闘を、大橋秀行(左)と小林昭司(右)が語った
「出場する選手たちの弟や妹たちも来ていて、だったらみんな後楽園ホールのリングを感じてもらいたかった。自分もボクシングをやってみたい、この大会に出たいってなってくれたらうれしいじゃないですか。シャドーなので危なくないし、司会を担当してくれた女性アナウンサーの方が『〇番の〇〇くん、凄く頑張っています』と盛り上げてくれるから、みんな頑張っちゃって。この企画は良かったなって思いました」
各学年、各階級で優勝者を決めるとともに、ベストマナー賞も設けた。勝ち負けではない評価基準を浸透させたかった。
想像以上に盛り上がった第1回大会。早いストップに対する不満の声は上がったものの、安全第一を謳った大会においてケガ人は一人も出なかった。小林は胸を撫でおろすとともに、この方向性で間違いないと確信できた。
井上尚弥の出現という「奇跡」
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小林は大橋に感謝する。
「好きにやってくれていいと言われて、その言葉どおり任せてくれました。いろいろと調整が必要なところでも、僕の意見を通すように動いてもいただいた。だから僕たちとしても絶対に成功させたいという思いがありました」
そしてリングでひと際、輝いている少年がいた。優秀選手賞を受賞する中3の井上尚弥であった。運営業務に奔走する小林も、目を奪われたほどだ。
「尚弥選手、一人だけ違っていました。大会を重ねていくとレベルの高い子が集まってくるんですけど、初めての大会だったのでレベル差が明らかにありました。とはいってもボクシングレベルそのものが群を抜いていて、凄い子がいるなって思いました」
ボクシングの未来を危惧して誕生した大会に、未来を託すボクサーが出現するという奇跡が待っていた。
〈全3回の2回目/3回目につづく〉

