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「事故があったらどうするんだ」18年前、逆風から実現したジュニアボクシング大会に“未来のモンスター”が現れるまで「群を抜いて凄い子がいる」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHideki Sugiyama(L)/NumberWeb(R)
posted2026/04/29 11:01
5・2に東京ドームで激突する井上尚弥と中谷潤人を輩出したジュニア大会創設への苦闘を、大橋秀行(左)と小林昭司(右)が語った
「大橋会長から指令を受けて、とにかく安全性なんだ、と。自分もそうだと思いましたし、JBC(日本ボクシングコミッション)も協力してくれてIBA(国際ボクシング協会)から世界のジュニア世代の大会がどんなルールでやっているか資料を集めてくれました。世界のルールに照らし合わせながら日本に合うものを考えていきました」
出場資格は小学4~6年、中学1~3年と学年ごとに区分し、1ラウンドの時間を短く設定。ウエイト区分も細分化した。クリーンヒットがあれば1発でダウンとし、「とにかく早いストップ」を組み込んだ。
安全性を重視した14オンスのソフトグローブとヘッドギアは主催者側が用意したものの着用を義務づけ、胸部パットまで準備している。健康診断書とCT検査の結果も提出を求めることにした。
いよいよ第1回大会の開催が決まった
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小林がアマ側からの許可を得るのと並行して、大橋もプロ加盟のジムに対して開催実現に理解を求めた。プロジェクトチームの熱意が伝わり、2008年8月、聖地・後楽園ホールでの第1回大会開催が決まった。
アマ側への配慮も忘れない。プロの大会に出ると、アマチュアの試合に出られない規定があったため、事実上プロ側の運営によるものではあっても主催を「実行委員会」とした。トランクスはジムのスポンサー名などを入れず、無地とするなどプロ主催の色を極力消した。
出場は日本プロボクシング協会加盟ジムに所属するボクサーに限られたが、アマチュアのジムやキックボクシングのジムも、プロ加盟ジムを通せば参加可能とした。間口を広げたいという大橋の思いを汲んでのことだった。また、礼儀や挨拶を重んじ、髪の色を染めることは禁止にした。ボクシングのイメージを変えたかった。

