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「ケイタ、僕らには君が必要だ」“北極圏の未踏壁”を越えた世界的クライマーが語った“38歳で急逝した日本人”の肖像「彼の選択は、非常に勇気のある決断…」

posted2026/06/22 11:01

 
「ケイタ、僕らには君が必要だ」“北極圏の未踏壁”を越えた世界的クライマーが語った“38歳で急逝した日本人”の肖像「彼の選択は、非常に勇気のある決断…」<Number Web> photograph by Julia Cassou

2024年6月に急逝した日本人クライマーの倉上慶大を北極圏の未踏壁への挑戦に誘っていたというベルギー人クライマーのショーン

text by

寺倉力

寺倉力Chikara Terakura

PROFILE

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Julia Cassou

 2025年11月、1人のベルギー人クライマーが来日した。コアなクライマーたちにとっては注目の人物だが、一般的な知名度はほとんどないと言っていいだろう。だが、どうしても話を聞きたかった。なぜなら、彼は2024年夏に亡くなったクライマー・倉上慶大を、その直前にグリーンランド遠征に誘った人物だからだ。なぜ彼は倉上に声をかけ、そして何を求めていたのか。そして突然の死をどう受け止めたのか。《NumberWebノンフィクション全2回の2回目/最初から読む》

「そうだ、ケイタ・クラカミがいるじゃないか!」

 そのアイデアを思いついた瞬間、ショーン・ヴィラヌエバ・オドリスコールは大いに興奮したという。

「彼のボールドなトラッドクライミングや、エルキャピタン・ノーズでのロープソロは世界的な注目を集めていましたし、僕自身も非常にインスパイアされてきました。そんなケイタと一緒に登る。もしもそれが実現したら、きっと特別なものになる。そう確信したんです」

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 ショーンの言う「ボールドなトラッドクライミング」とは、リスクを承知のうえで突き進む、文字どおり、大胆で勇敢な冒険的クライミングのことだ。

 岩壁にボルトを打つことなく、あるがままの岩を、あるがままに登るという姿勢を貫くため、確実な中間支点を確保しにくいミラーウォールのような岩壁では、ひとたびミスを犯せば長い距離の墜落は避けられず、ロープを結び合っていることさえ意味をなさない状況に陥りかねない。

「あるがままに、よりフェアに」という価値観

 この「あるがままに、よりフェアに」という価値観をビッグウォールに持ち込んだ倉上の象徴的な登攀が、ヨセミテ・エルキャピタンにおける一連の冒険的クライミングである。

 まず2017年、エルキャピタンの初登ルート「ザ・ノーズ」を麓からのグラウンドアップで全ピッチ・フリー完登。日本人初、世界でも5人目という快挙だった。

 翌年には、同じく「ザ・ノーズ」でのロープソロをワンプッシュで達成。これは、1,000m近い高低差を誇るビッグウォールにおいて極めて稀な、パートナーを伴わない単独行による挑戦であり、その前例のないスタイルは大いに世界を驚かせた。

 絶対に落ちないことを前提としつつ、リスクを真正面から引き受ける――。ショーンが追い求める「ボールドなトラッドクライミング」を体現する精神的な強さこそが、彼が倉上を必要とした理由だった。

「ケイタとは、ヨセミテのキャンプ4で一度会ったことがあります。そのとき、彼はすでに世界のトラッドクライミング・コミュニティではよく知られた存在でした。お互い、笛を吹いて楽しむことが好きという共通点もあって、すぐに意気投合したのを覚えています」

【次ページ】 出発2週間前…ショーンの元に届いた訃報

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#倉上慶大
#ショーン・ヴィラヌエバ・オドリスコール

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