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「引退するときは私も一緒」24歳の三浦璃来が明言していた“木原龍一との引退”…なぜ発表はこのタイミングだった? りくりゅう声明文で注目すべき“ある一文”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2026/04/19 11:00
引退を発表した三浦璃来と木原龍一
三浦が語った「引退するときは私も一緒」
また、もし4年後のオリンピックまで続けるとしたら木原は37歳、三浦は28歳。木原もまだ競技に取り組める年齢であるが、三浦はより若く、十分続けていける年齢ではある。
それでも一緒の引退を選んだ。オリンピックを終えてからの会見で三浦は語っている。
「木原選手が引退するときは私も一緒に引退するときで、私が違う人と組んで続けることは絶対ないです」
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その言葉をあらためて思い起こすとともに、2人だからこそ到達できた、やりきれたのだということを思う。
2人の引退は、ひと組の引退ではあっても、一つの時代が終わったかのような感慨を抱かせる。
その功績は計り知れない。
主だったところで見ても、2022年北京五輪で日本勢では史上初の7位入賞を果たすと、2022-2023シーズンには主要国際大会のすべてで優勝する「年間グランドスラム」を、全種目を通じて日本勢として初めて達成した。このシーズンに、世界選手権でも日本ペア初優勝を成し遂げている。
りくりゅうは“日本のペア”をどう変えたのか?
これらに限らない。長年、世界の壁に阻まれていた日本のペアの歴史を、1つ1つ塗り替えてきた。
2人の存在は後に続く者への指標となり、ペアの可能性、ペアに取り組む自身の可能性を見出す選手も増えていった。ペアでは、ミラノ・コルティナ五輪に出場し、先月の世界選手権で4位と表彰台まであと一歩に迫った長岡柚奈・森口澄士の成長も著しい。その2人もしばしば、「りくりゅう」の存在と活躍に刺激を得ていることを話してきた。それもまた、三浦と木原がもたらした影響の大きさを示している。
好成績を残すにつれ、ペアへの視線も変わっていった。NHK杯や全日本選手権など2人が出場する大会では、ペア種目を実施している時間も、多くの人が観客席を埋めるようになった。やがて2人が出ていなくても、ペアを観る人の数は以前よりはるかに多くなっていった。
大会の観客数だけでなく、ペアを巡る報道も増えた。かつて、各種目の選手が集う会見でも木原らペアの選手にはスポットライトがあたらなかったこと、空席の目立つ観客席であったことを思えば、大きな変化を生み出した。ペアの認知度を高め、ペアの魅力を伝えたという功績も忘れるわけにはいかない。
4月12日まで、大阪と東京で行われたアイスショー「スターズ・オン・アイス」にも、おそらくはアイスショーを観るのが初めてという人が数多く来場していた。目当ての筆頭は三浦と木原である様子もうかがえた。ペアを、ひいてはフィギュアスケートを新たな人々に広げる役割を果たしたことにもなる。

