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「勝利至上主義を捨てた監督」甲子園に出場した“野球エリート”の挫折…「先生、甲子園出たんでしょ?」女子生徒3人が野球部を創設“まるでマンガ”の実話

posted2026/04/19 06:00

 
「勝利至上主義を捨てた監督」甲子園に出場した“野球エリート”の挫折…「先生、甲子園出たんでしょ?」女子生徒3人が野球部を創設“まるでマンガ”の実話<Number Web> photograph by Yuki Kashimoto

水戸第三高校・硬式野球部監督の柴田優太(41歳)

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NumberWeb編集部

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Yuki Kashimoto

「先生、甲子園出たんでしょ? 野球部つくっちゃおうよ! ウチらマネやるからさ!」

 職員室の前で待ち伏せしていた女子生徒3人が、新任の教師にそう言い放った。まるでマンガのワンシーンのような出来事が、茨城県の公立高校に新しい風を吹き込むことになる。

 水戸第三高校・硬式野球部監督の柴田優太(41歳)は、輝かしい経歴の持ち主だ。2002年春に水戸短大付属(現・水戸啓明)の主将として春の甲子園に出場し、卒業後は東都大学1部リーグの名門・駒澤大でもプレーした。しかし指導者として現場に立つと、その看板はたちまち重責へと変わった。

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「あれ、なんか違うなと思ったのが下妻二の監督時代ですね。試合をやるたびにあれ?あれ?こんなはずじゃない、と思い知った」

 勝てない日々が続いた。かつてカリスマ監督たちの言う通りに動いて勝ってきた柴田は、自分自身が組織を導く術を持っていなかったことに気づく。

「『勝たせてもらっていた』だけだったんです」

勝利至上主義より成長至上主義

 そんな自己否定の日々を経て、2023年に赴任したのが水戸三だった。9割以上が女子という「ほぼ女子校」で、野球部はなかった。テニス部顧問を任された柴田は「もう二度と、野球部の指揮を執ることはないだろう」と覚悟した。

 ところが赴任1年目の春、当時高校2年生の笹嶋ほのかさん、大越夢叶さん、延島心美さんの3人が職員室前で柴田を待ち伏せし、冒頭の言葉を口にした。

「自分のための野球じゃない。生徒がやりたいと言っている」

 この事実が、勝利へのエゴだけで空回りしてきた柴田の呪縛を解いた。こうして2024年春、女子マネージャー3人・選手0人という状態から水戸三野球部の歴史が始まった。

 部員募集のチラシには「最初の1ページを共に作りませんか?」と書き、「初心者大歓迎」「兼部OK」を掲げた。4月中旬、初心者2人を含む6人が入部。初練習では硬式球もバットもなく、柴田の私物を使ってスタートした。

 掲げたキャッチフレーズは「勝利至上主義より、成長至上主義!」。柴田は指導論を180度転換し、生徒の個性を潰さない「余白」を大切にした。主将がサッカー審判員の活動で部活を休むことも、マネージャーが3つの部活を掛け持ちすることも認めた。

 公式戦は未勝利だ。それでも今春に部員は21人の大所帯となり、学校の志願倍率は1.38倍と県内公立校普通科で3位まで上昇した。

 柴田の挫折や、創設3年で部員が21人になるまでのウラ側、柴田がたどり着いた「成長至上主義」の真意は、本編でさらに深く語られている。

<つづく>

 この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。

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