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令和の野球探訪BACK NUMBER
「野球か勉強か」の二者択一は壊せるか? “異色の留学生選手”が東大合格で母国に投じた一石…「野球をしても勉学に支障はないことを証明したい」
posted2026/04/18 11:01
台湾からの留学生で、強豪の明秀日立(茨城)で活躍した李玟勳。この春から東京大学に入学した
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高木遊Yu Takagi
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Yu Takagi
昨夏、甲子園にも出場した強豪・明秀日立(茨城)。そんな名門校の4番も務めた台湾人留学生選手が、この春、難関の東京大学に合格した。様々なハードルを乗り越え、なぜ彼は「究極の文武両道」を成し遂げられたのか。本人に話を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
「最初は、こいつ何言ってんねんって思いました(笑)」
Athlete Career Educationの頭文字から名付けられたACEプロジェクトの運営を行い、これまでの10年間で57人もの台湾人選手を、日本の高校へ仲介してきたチャオ・スンウェイさんは耳を疑った。
「すごく勉強できる子がいるので見にきて欲しい」と旧知の指導者から連絡を受けて、当時中学2年生だった李玟勳に出会った。すると「日本に行って甲子園出場と東大合格を目指したい」と真剣な表情で言われたからだ。
「野球と勉学の道は完全に別」…台湾のリアル
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チャオさんが驚くのも無理はない。台湾では、野球で上を目指す少年は小学校からスポーツコースのある学校に入学するのが普通だ。中学生になる段階ではすでに選手の争奪戦になるような状況で、野球と勉学の道とは完全に分かれているからだ。
貧しい生活を強いられていたが、幼い頃からの寮生活で野球の技術を磨き、プロ野球選手となって自らと家族の生活を一変させた者もいる。だが、当然そうした選手はひと握りに過ぎない。大成せず道を逸れていってしまった元選手も多くいる。
「幼い頃から野球漬けの生活を送って、野球以外の知識が不足していたり、野球以外できないと思い込んでしまったりして、道を外れてしまう元選手が多くいる現状があります。こうした環境を変えないと、台湾の野球界は変わらないと思いました」
チャオさんがACEプロジェクトを進めるのも、そうした問題意識が背景にある。
