甲子園の風BACK NUMBER
「共学なのに9割以上が女子生徒」茨城の公立校で異変…男子生徒数が急増、人気校に「先生、野球部つくっちゃおうよ!」創部3年で“部員0→21人”のウラ側
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樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2026/04/17 11:02
昨夏の茨城大会、単独チームとして初めて出場。入場行進する水戸三の選手たち
グラウンドすらない環境に絶望していた柴田の中で、何かが切り替わった。「そうか、ないなら作ればいいのか」
マネ3人、選手0人でスタート
自分のための野球じゃない。生徒がやりたいと言っている。この事実が、自分のエゴで勝とうとばかりしていた呪縛からの解放となり、新たな行動への原動力となったのだ。
こうして水戸三の野球部0期は、女子マネージャー3人、選手0人ではじまった。
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2024年の春、部員をどう集めるか。男子がほとんどいない学校でどうやって野球部を成立させるか。柴田と3年生になった女子マネ3人が仕掛けたのは、嘘や誇張のない、まっすぐな「見える化」だった。
「ゼロ」の状態を逆手にとり、手作りのチラシに「最初の1ページを共に作りませんか?」と書いた。さらに、練習環境の不安を払しょくするため、校内の空きスペースで基礎練習や、近隣グラウンドを借りて実践練習ができること、トレーニング室があることもPR。
「初心者も大歓迎!」
「ユニフォーム・道具の貸し出しあり」
「元甲子園球児が顧問!」
6人が入部…「兼部も初心者もOK」
「高校生活を充実させたいなら、野球部にぜひ!」と新入生に宣伝をしまくった。すると4月中旬、初心者2人を含む6人の1年生が入部した。
4月13日の初練習の光景を、保護者の大髙正一さんは振り返る。
「硬式球もバットもなく、最初は柴田先生の私物を使いました。ゴロを取ることから始まり、バットを交換しての素振り。ゴムボールでバッティング。腕立て伏せと腹筋をしました。ゼロから始まる物語に、保護者もワクワクが止まらなかったですね」
「勝利至上主義より、成長至上主義!」
キャッチフレーズを掲げたXや、インスタグラムも部員たちが開設した。


