甲子園の風BACK NUMBER
「現場は7回制に猛反対」は本当か? 賛成派の“意外な意見”「超強豪に勝てるかも」「あの暑さを考えたら…」茨城の公立校監督が明かす“野球存続の危機感”
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樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2026/04/17 11:01
いずれも茨城の公立校、水戸一・木村優介監督と水戸三・柴田優太監督
野球が他競技に負けていく…
「『変われないもの』の象徴が高校野球だと思われている」と柴田監督は言う。競技の構造そのものを見直す必要性を解くために、自身の息子の体験談を話した。
「僕の息子が最初バスケットをやっていたのですが、野球をやらせたくて、ある日練習に参加させたんですよ。そしたら外野ノックのときにその場にぺたんと座っちゃった。『どうしたん?』って聞いたら『なんでボール来ないの。つまんないんだけど』と。バスケットはどんどんボールが来るのが楽しい。野球はゼンゼン飛んでこない。『お父さん、これ何の意味があるの?』って聞かれて説明できなかったんです。で、バスケの練習を観に行ったら、指導者が来て『今日の課題はこうで、これをやりました。次回はこれを意識してゲームをします。お疲れ様でした』って保護者に説明するんです。なにこれ!? 自分はこんなこと、ゼンゼンやってこなかったぞ、って驚いたんです。『うわ、これ野球負けるぞ』って思いましたね」
他競技を見ると、バレーボールのラリーポイント制、バスケットのクォーター制、サッカーのアディショナルタイム、交代枠5人制など現代化が進んでいる。約300年続く大相撲の世界でも競技人口の減少に合わせて新弟子検査の基準が大幅に緩和されている。「次の100年に続く高校野球」を目指すなら、パラダイムシフトは必要だ。しかし「変わること」と「変わらないこと」、どちらが高校野球を守ることになるのか。まだ筆者の中でその答えは出ない。
柴田監督ってどんな人?
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ところで「7回制に賛成です」と言い切る柴田監督は、なぜ伝統的なルール変更に対してこれほど柔軟で、恐れ知らずのアプローチを口にできるのか? その背景を知るには彼が指導する水戸三野球部を理解する必要がある。甲子園に出場し、大学では名門・駒澤大でプレーした経験をもつ柴田監督。「名将を目指していたんですけど、あるとき“違うな”って思ったんです」。その意味とは。
〈つづく〉

