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「もう負けられない」那須川天心が“超難敵”エストラーダ戦でみせた覚悟…元世界王者・飯田覚士が着目した勝負の分かれ目「ポイントはジャブでした」
posted2026/04/16 17:15
WBC世界バンタム級挑戦者決定戦・那須川天心vs.エストラーダの勝負を分けたポイントとは…元世界王者の飯田覚士氏が徹底解説した(前編)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Naoki Fukuda
1Rの天心の入り“硬いな”
ジャブを制する者は世界を制す――。
このボクシング界の格言が、まさに勝負の帰趨を決めた両国の夜であった。
昨年11月、井上拓真に敗れてプロボクシング転向後初黒星を喫した那須川天心が、軽量級のビッグネームであるファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)を迎えて臨んだWBC世界バンタム級挑戦者決定戦。経験値の差から不利予想の声が多かったなか、那須川は果敢に打ち合いに応じてエストラーダを追い込み、9回終了TKO勝利に持ち込んだ。35歳とはいえ公開練習でもコンディションの良さをうかがわせた超難敵を、なぜ攻略できたのか。WOWOW「エキサイトマッチ」の解説を務めるなど海外のボクシングにも精通する元WBA世界スーパーフライ級王者、飯田覚士氏は1ラウンドの攻防に目を留めた。
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「ポイントはジャブでした。これまでエストラーダ選手の多くの試合を見てきましたが、実はジャブがそこまでうまくない。天心選手はジャブの差し合いで優位に立って距離を支配できれば判定で勝利できるというのが自分の見立て。パンチがパワーアップして特にボディブローの強さが増していてTKOになったというのは想定以上でしたが。
1ラウンドの天心選手の入りは“硬いな”という印象を持ちました。拓真選手との試合のようなちょっとノリのいい感じじゃなかったのが気になったのですが、右のリードジャブをうまく使っていこうという意識は見えました。
距離感にプラスしてこれまで以上に精度が上がっていましたね。まっすぐ打ち込むジャブ、同じ軌道でガードの外から打つジャブ、逆に内側に差し込むジャブという3方向を使い分けて、加えてフェイントもある。エストラーダ選手もヘッドスリップなりブロックなりで対応して、打ち終わりに行くということをやりたかったはずですが、(距離が)長いにもかかわらず速い。ジャブの初動のところで反応しないといけなかったので、フェイントにも引っ掛かってしまった。変なモーションもないので、反応できていなかった」
「もう負けられない」決意の裏返し
ジャブだけに終わらず、左につなげる右。1分20秒が経過したところで右から左ボディショットを腹にめり込ませる。エストラーダはバランスを崩し、ロープまで飛ばされる形になった。


