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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「もう負けられない」那須川天心が“超難敵”エストラーダ戦でみせた覚悟…元世界王者・飯田覚士が着目した勝負の分かれ目「ポイントはジャブでした」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Fukuda
posted2026/04/16 17:15
WBC世界バンタム級挑戦者決定戦・那須川天心vs.エストラーダの勝負を分けたポイントとは…元世界王者の飯田覚士氏が徹底解説した(前編)
「左に移動したい場合は左足を、右に移動したいときは右足を先に動かすのが常道ですが、エストラーダ選手はそこにこだわらない。左に回るときも(後ろ足の)右から動かしていく特徴がある。そのこともあって前足を相手の天心選手の外側に持っていけず、内側にあるところであのボディをもらいました」
踏み込んで相手を自分の内側に入れたうえで強いパンチを打ち込んでいく。那須川はここを狙っていた節がある。ジャブで制空権を手中に収めつつ、攻略法はインプット済みとばかりにエストラーダを心理的に圧迫していく。“硬いな”という印象は飯田自身、彼に対してあまり持ったことがないという。もう負けられないという決意の裏返しが、高いガード設定を含めて“いい硬さ”として表れていたとも受け取れる。
的確なボディでエストラーダにストレス
ジャブの差し合いで不利と見たのか、百戦錬磨のエストラーダは2ラウンドから距離を詰め、カウンターで右ストレートを振ってくる。那須川は集中を切らさず迎撃に務め、左フックには左ストレートを合わしている。2ラウンド終盤には左ボディストレート、ワンツーを見舞ってジャッジに好印象を植えつける。
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「ジャブの差し合いで優位に立ったことで2、3ラウンドとエストラーダ選手が前進を強めてくる形にはなりましたけど、しっかり対応していく那須川選手が一枚上手に僕の目には映りました。3ラウンドに入るとだいぶ相手を見切っていた感じも受けました。エストラーダ選手は体を開かないし、半身になるため奥のレバーには届きにくいのですが、変わらずボディをヒットさせていました」
外側に踏み込んで距離を近づけると、体を開かず半身になって「お辞儀するような“くの字”の体勢」となるエストラーダの胸、腹を目掛けて左腕を回して打ち込んでいく。的確なボディショットは明らかにストレスを与えていた。
4R後の公開採点は“ほぼイーブン”
迎えた4ラウンド、打開を図ろうとするエストラーダに打ち終わりを狙われて右ストレートを浴びる。だが那須川は引くことなく、前に出て反撃を試みる。ローブローによる休憩後、左でバランスを崩させて再びロープまで飛ばしている。ジャッジ3者ともエストラーダを支持するラウンドとなったが、飯田は那須川の覚悟を見たという。

