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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「背中まで振動が…これまでのボディと全く違う」那須川天心が元2階級王者にTKO勝利…「井上拓真との再戦が実現したら?」元世界王者・飯田覚士の見解
posted2026/04/16 17:17
WBC世界バンタム級挑戦者決定戦・那須川天心vs.エストラーダの勝負を分けたポイントとは…元世界王者の飯田覚士氏が徹底解説した(後編)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
勝負の5Rで那須川天心がみせた“変化”
常に動いていく試合のなかで、柔軟に変化させていくことが勝利を手繰り寄せる条件にもなる。
那須川天心は5カ月前、井上拓真に敗れた際、それができなかった。前に出てきた相手に対して後手に回り、流れを変えられないまま試合終了のゴングを聞いた。
再起戦となったファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)とのWBC世界バンタム級挑戦者決定戦。右ジャブで距離を制す那須川が優位に立ったかに見えたが、4ラウンドまでの公開採点はジャッジ2者が38―38のイーブン、1者が39―37とほぼ互角の展開であった。勝負の行方を占う意味でも、次のラウンドが大事になることは両者が理解していた。
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第5ラウンドでの那須川の“変化”に、飯田覚士は驚かされることになる。
「ラウンドの途中から、足を使い始めたんですよね。グイグイ前に出てくるエストラーダ選手の勢いをいなすというか、リズムを狂わせるというか、足を使ってペースを変えていく感じがありました。ハイガードだったのをルーズにして、以前のスタイルのように緩い動きも取り入れた。自在に動きながら先手先手でいいポジションを取ろうとしていました」
動きに抑揚をつけ、ノーモーションの左ボディを放つなど自分のパンチは当てつつ、エストラーダのパンチを軽やかにかわしていく。前のめりの相手を足ですかして、勢いづかせないようにした。終盤には強気に打ち合い姿勢に再び戻すものの、ジャッジ3者ともに那須川を支持したことからも“主導権は我にあり”を印象づけるラウンドにもなった。
「これまでとまったく違う」天心のボディ打ち
続く6ラウンドに、ハイライトシーンがやってくる。エストラーダが強引に入ってくるところを、那須川はかわすことなく構えて左ボディを狙ったのだ。両者の頭がバッティングでぶつかるとほぼ同時に、エストラーダの腹に左拳がめり込んだ。
バッティングと判定されて休憩措置が取られたものの、腹への一発が大きなダメージを与えていた。

