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今季こそシーズン終盤の失速回避なるか? 広島のルーキー勝田成のサヨナラ安打と開幕3連勝に見えた新井監督の胆力
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前原淳Jun Maehara
photograph bySankei Shimbun
posted2026/03/31 17:00
開幕戦でサヨナラ安打を放ち祝福を受ける勝田(左)
勝田は低めのフォークを見送った後の2球目、外寄りの真っすぐに体を素早く回転させた。前の打席で詰まらされた真っすぐを、今度は力強く振り抜いた。打球は右翼線に転がり、セ・リーグ史上初の開幕戦新人選手サヨナラ打となり、監督の起用に見事に応えてみせた。
開幕戦の劇的勝利の勢いそのままに、2戦目は新外国人フレディ・ターノックの好投から、終盤までもつれた試合をものにした。3戦目は中継ぎから先発転向したばかりの栗林良吏が準完全投球で連勝を伸ばした。前評判を覆す好発進だ。
チームが勢いづく一方、開幕戦の代打2点打で3連勝の流れをつくったモンテロは、開幕3戦目までスタメン出場の機会はなかった。陽気なドミニカンだが、開幕前から報道陣への対応を控えるようになった。フェリシアーノ通訳は、全体練習とは別に屋内練習場で特打をしていることを理由にしたが、出場機会が減っていることも一因であることは想像に難くない。
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それこそ、開幕カードで新井監督が示した変化だった。
他球団に比べて戦力が薄い広島は、これまで特定の選手への依存度が高かった。野手に限ったことではなく、中継ぎ起用でも先手を打つ継投がみられた。開幕2戦目の8回。セットアッパー島内颯太郎が1点差を追いつかれると、すかさずテイラー・ハーンにスイッチした。「追いつかれたらすぐに代えるからと投手コーチには言っていた」と新井監督の判断に迷いはなかった。
紙一重の勝利ににじむ監督の信念
開幕スタメンを勝ち取った若手が代走や守備固めを必要としないことで、昨季まで主に8人態勢だったブルペンを今季は9人態勢で開幕を迎えたことも後押ししている。
先発にしてもそう。開幕前に大瀬良大地の離脱もあったが、開幕カードに先発の柱と位置付けられた投手が1人しか登板しなかったことは、森下が開幕直前に右肘の張りを訴えた2024年をのぞくと過去10年以上なかったことだ。「横一線」の争いによって戦力の底上げを促し、特定の選手への依存度を減らすことが、2年続いたシーズン終盤の失速を回避することにつながるはずだ。
もちろん、手放しで喜べる3連勝だったわけではない。3試合すべて最少得点差。中日の記録に表れないミスにも助けられたし、広島側にも勝ったことで表面化しなかったミスもあった。勝敗は紙一重だった。
勝利しても表面化しなかった問題と向き合うこととともに、たとえ敗れても開幕カードで示したような戦い方を崩さない強さも求められる。3連勝という結果以上に、新井監督の信念の強さがにじんだ開幕3連戦だった。

