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今季こそシーズン終盤の失速回避なるか? 広島のルーキー勝田成のサヨナラ安打と開幕3連勝に見えた新井監督の胆力

posted2026/03/31 17:00

 
今季こそシーズン終盤の失速回避なるか? 広島のルーキー勝田成のサヨナラ安打と開幕3連勝に見えた新井監督の胆力<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

開幕戦でサヨナラ安打を放ち祝福を受ける勝田(左)

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 4年ぶりの開幕3連勝は望外といってもいい結果だった。そして、広島が最少得点差の試合をことごとくものにした裏には、新井貴浩監督の胆力があった。

 3月27日、本拠地マツダスタジアムで迎えた中日との開幕戦。新シーズンの戦い方を示すスタメンには、エレフリス・モンテロや秋山翔吾の名前はなかった。代わって並んだのは、ドラフト1位の平川蓮や同3位の勝田成ら若手たちだった。新人野手が開幕スタメンにふたり起用されたのは、ドラフト制導入後では球団初。チームが生まれ変わる、強いメッセージを感じた。

 特に一発長打のあるモンテロを外し、日本プロ野球で最も小兵、163cmの勝田を抜擢したことには驚かされた。WBC日本代表の小園海斗を遊撃から三塁へ、2年目の4番・佐々木泰を三塁から一塁に回して起用された。

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 スコアボードの選手成績に数字が載らないシーズン初戦の独特な空気の中、中日ペースで試合は進んだ。最少得点差のまま迎えた9回。広島はこの日4人目の新人起用となる、ドラフト5位の赤木晴哉をマウンドに送った。だが、6球連続でストライクを投げ込む持ち前の強気の投球が裏目に出て痛打を浴びた。その後も積極的な中日打線につかまり、3失点を喫してイニング途中に降板した。

ルーキーへの期待感

 若手の勢いは脆さと背中合わせだ。それでも、新井監督はブレない。4点差を追う9回に代打モンテロの2点打などで同点とし、迎えた延長10回。1死一塁から菊池涼介、坂倉将吾、勝田と並ぶ打順で、広島ベンチは菊池に犠打のサイン。2死二塁となれば、サヨナラの好機でチームでも信頼度の高い坂倉を迎えられるが、一塁が空けば坂倉は歩かされる。その展開も織り込み済みで、新井監督はルーキーに託した。

 デビュー戦となった勝田は、9回無死満塁で内角球に詰まらされサードファウルフライに倒れるなど、4打席凡退していた。コンタクトを意識したようなスイングが弱く見える打席もあった。ベンチに代打要員は残っている状況だったが、その選択が指揮官の頭をよぎることはなかった。

「サク(坂倉)は歩かされるなと思っていた。それも込みでナル(勝田)に期待していました。それまでの内容とか結果というより、普通にナルに期待していました」

 チーム内にメッセージを送るためだけに、スターティングメンバーに名を記したわけではない。可能性を信じての起用であり、そう簡単に迷いが生じるものではなかった。勝田もまた、それだけの気概を持った選手だ。

「自分と勝負だなと感じていたので、本当に次こそは自分が決めてやるという気持ちでネクスト(バッターズサークル)から臨んでいました。4打席は凡退してしまっていたんですけど、次の1打席に集中しようという気持ちの方が強かった。あまり前の打席の凡退を引きずらずに打席に立てました」

【次ページ】 紙一重の勝利ににじむ監督の信念

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