F1ピットストップBACK NUMBER
「この勝利をアレックスに捧げたい」3戦連続ポール・トゥ・ウィンでF1無双の19歳、アントネッリが語った母国の英雄・ザナルディへの思い
posted2026/05/16 17:00
マイアミGPで今季3勝目を挙げたアントネッリ
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Mercedes-Benz Grand Prix Limited
若きイタリアン・ドライバーの快進撃が止まらない。昨年デビューしたばかりのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)だ。
第2戦中国GPで自身初のポールポジション(PP)を獲得すると、第3戦日本GP、第4戦マイアミGPと立て続けにPPを奪取。初PPから3戦連続でPP獲得を成し遂げたドライバーは、これまでに2人しかいないほどの快挙だ。
ひとりはアイルトン・セナ。1985年の第2戦ポルトガルGPで初のPPを獲得したセナはその後、サンマリノGPとモナコGPでもPPを獲得し、トップドライバーとしての地位を固めていった。
ADVERTISEMENT
もうひとりはミハエル・シューマッハだ。94年の第4戦モナコGPで自身初のPPを獲得したシューマッハは、続くスペインGPとカナダGPでPPを獲得し、チャンピオンシップ争いを大きくリードした。
アントネッリの速さが発揮されるのは予選だけではない。中国GPで初優勝を果たすと、そこからマイアミGPまで3連勝。初優勝から3連勝を飾ったドライバーも長いF1の歴史において、アントネッリ以前に2人しか成し得なかった大記録だった。
1人目は93年のデイモン・ヒルで、第11戦ハンガリーGPで初優勝した後、ベルギーGPとイタリアGPも制して3連勝とした。2人目は97年の最終戦ヨーロッパGPで初優勝を飾ったミカ・ハッキネンで、翌年の98年も開幕2連勝して年またぎで達成した記録だった。
快挙の裏にあった英雄への思い
マイアミGPでポール・トゥ・ウィンを達成したアントネッリは、セナ、シューマッハ、ヒル、ハッキネンという名王者たちも成し遂げられなかった金字塔を打ち立てた。それは、「初ポールから3戦連続のポール・トゥ・ウィン」だ。しかも、アントネッリはまだ19歳。10代での初勝利からの3戦連続ポール・トゥ・ウィンという記録は、今後破られない不滅の記録のひとつになるかもしれない。
大記録を樹立したにもかかわらず、マイアミGPを制した5月3日、アントネッリの思いはそこになかった。
「クールな記録だけど、それに気を取られすぎず、次のレースの準備にかかりたい。次のカナダGPに向けてベストな準備をして、さらに強くなって戻ってくるつもりだ」
アントネッリがそう語ったのには、理由があった。2日前の5月1日にアントネッリと同じイタリア出身の元F1ドライバー、アレックス・ザナルディが亡くなっていたからだ。

