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「スロー、スロー! GO!!」東京マラソン“ペースメーカー遅すぎ問題”を当事者の上野裕一郎が説明「ケニア人同士で決めたのかわからないけど」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/03/30 06:01
東京マラソンでペースメーカーを務めた上野裕一郎(写真内先頭)。「ペーサー遅すぎ問題」から、自身はマラソンをしないのか、大迫傑への思いまでを語った
コースアウトする際には、選手に「タイム出るから、がんばれ!!」と声を掛けた。それは、タイムを出してほしいという願いとともに、ここからが本当の勝負だということを改めて選手に認識させるという意味がある。
「ペーサーが終わっても、ホッとするとかはないです。自分が引っ張った集団がちゃんといいペースで行っているのかすごく気になるので、ゴールするまでは自分の仕事が終わった気がしません。でも、ゴールして自己ベストを出せたとか、MGCの出場権を得た選手が出た時は嬉しいですね。よかった、これで終わったと、やっと安心します。
逆に神戸のようにMGCへの出場権を獲得する選手がひとりも出ない時は、最初が少し速かったなぁとか、ケニア人に煽られてしまったなぁとか、反省します。僕らペーサーは選手に結果を出してもらうために呼ばれているので」
マラソンにペーサーは必要なのか?
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ペーサーの存在には、国内において賛否両論ある。
実力や勝負強さを磨いていくためには、海外のレースのようにペーサーを置かず、“ガチンコ”のレースを増やすべきだという声がある。一方、日本のレース主催側としては、好タイムを出してもらって大会のステイタスや世界的認知度を高めていきたいという思惑などもあり、ペーサーを入れる傾向にある。
この点について上野は、どう考えているのだろうか。
「今はMGCがあるので、まずはタイムを切らないといけないですからね。フリーのレースになるとペースが上下して、MGCが基準とするタイムに届かない可能性が高い。僕は、ペースの安定性を求めた方が間違いなくタイムが出せると思いますし、今はペースメーカーが規定の位置まで引っ張ってからがレース、という風にレース展開が変わってきているので、今のマラソンにはペーサーがいた方がいいと思います」
タイムが基準になるMGCへの出場が絡むレースでは、やはりペーサーの存在が不可欠ということだろう。一方でMGCのような“勝負レース”にもペーサーは必要なのだろうか。

