濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「嫌な予感はしてた…」桜庭大世はなぜグスタボと“血まみれの殴り合い”を選んだのか?「親父を見てるよう」桜庭和志と重なった、目が離せない魅力
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2026/03/10 17:22
『RIZIN.52』でルイス・グスタボに敗れた桜庭大世
敗れても目が離せない、桜庭大世の魅力
とにかく攻めたい。誰が相手でも練習してきたことを出し切りたい。それが、水よりも濃い桜庭家の血なのか。一歩も退かない闘いで観客を魅了し、その末に大世は敗れた。
2ラウンド、右フック一発で大の字になり試合が終わる。シウバとの3戦目、一度も寝技をすることなく右一発で吹っ飛ばされた父と同じだった。
何もこんなところまで親譲りじゃなくてもいいのに……。そう思いながら、リングを降りても号泣し続ける大世から目が離せない。親譲りの無鉄砲は大きな弱点であり、けれどやっぱり魅力なのだ。
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そのファイティングスピリットを、グスタボも賞賛していた。彼にも“シウバの愛弟子”と呼ばれるプレッシャーはある。負けた時はシウバやジダ、それに家族と友人たちに対して恥ずかしく情けない思いになるのだと。
グスタボは幼少期、ストリートの抗争で父を亡くしたという。試合をするのは「家族のためにテーブルに食べ物を載せなくてはいけないから」だ。シウバがそうであったように、グスタボも単なる“桜庭の相手”ではなかった。
病院に直行…桜庭が涙を流した理由とは?
試合後の大世はインタビュースペースには現れなかった。病院に直行したためだ。グスタボのパンチでアゴが折れたという。RIZIN公式のバックステージ映像には、ドクターに「アゴの骨折って治るまでどれくらいかかるんですか?」と聞く大世の姿が映されている。
泣きながら「最悪だ。練習できない」と言う場面も。負けたことはもちろんだが、これからもっと強くなるために練習することができないのも悔しくてたまらないのだ。

