猛牛のささやきBACK NUMBER
「えっ、あの曽谷がWBC?」侍ジャパン大抜擢のドラ1左腕・曽谷龍平25歳ってどんな選手? 担当スカウト「期待よりも不安が…でも曽谷は本番に強い」
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米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byGetty Images
posted2026/03/05 11:01
WBC日本代表に選出された曽谷龍平(25歳)
「『宮城(大弥)より防御率が悪いのに、僕のほうが勝ち数が多い』って言うんですよ。つまり『援護点が、僕の時は多いのに、宮城の時は少なくて、僕のほうが打たれてるのに、僕のほうが勝ってる。それがなんか申し訳なくて。宮城とは仲がいいけど、気まずい。どういう気持ちでいたらいいか、どう接したらいいかわからない』みたいな連絡が来たんです」
思わぬ相談に内心「何を言うとんねん」とずっこけつつも、務めて冷静に返答した。
「ごめん、その心配はいらないと思うわ。お前な、人の心配をしていられるような選手じゃないでしょ。結果がすべての世界なんだから。宮城よりも自分が勝っちゃいけないって、そんなルールないだろ。お前が優勝させればいいじゃん。お前が15勝して、宮城が0勝でも、優勝すればいい。そんなこと言ってたら後半戦勝てないよ。宮城は後半、絶対勝つからな」
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曽谷は、「わかりました。後半戦もう一回頑張ります」と素直に納得したという。
前半戦で3勝にとどまっていた1歳年下のエース宮城は、腰の肉離れを抱えながらも後半戦で4勝を積み上げた。一方の曽谷は、後半戦0勝に終わった。
「もう、ふざけてんのかって話ですよ」と岡崎は苦笑する。
「あの時いらん気遣いをして……。気の緩みではないんでしょうけど、優しすぎるというか。宮城と仲がいいからこそ、たぶん身近で元気のない宮城を見るのも嫌だし、自分が勝っているからって喜んでいいのかもわからないし、というのがあったんでしょうけど。あいつは本当にいいやつだから。でもそういうことがあって、今年はより一層、とにかく自分が勝つということに集中するんじゃないかと思います」
そんな優しすぎる一面も、岡崎が曽谷を心配する要因の一つだが、一方で「本番に強い」という、最初に胸を撃ち抜かれた素養も持っている。日本中が注目するWBCの舞台で、見る人の心を掴む投球を披露するに違いない。

