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オリンピックへの道BACK NUMBER
「龍一は悩んでいました」木原龍一と高橋成美が“ペア解消”した真実…「言葉には表せない“相性”があるんだ」葛藤する木原が三浦璃来と出会った日
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2026/03/04 06:01
ソチ五輪団体で演技を行う高橋成美・木原龍一ペア
「ペアには向いていないんじゃないか」
その翌シーズン、木原は須崎とのペアを解散。相手がいなくなった木原は、愛知県名古屋市の邦和スポーツランド(現・邦和みなと スポーツ&カルチャー)でアルバイトをしていた。
引退しようかと考えていた。ペアに挑戦して時間は流れ、思い描いていたレベルに到達しなかった。オリンピックでも、団体戦で貢献できていないという思いがあった。
誠実な人柄ゆえに、伸び悩んでいると責任を感じた。相手との関係も、ともに真摯に思い求めるからこそ、追いつめられるような心境もときに起こり、息苦しさも生まれた。
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「ペアには向いていないんじゃないかと思っていました」
シングルで国体に出て引退しようか。そんなことも考えていた。
その中で出会いがあった。ペア強化のプロジェクトの手伝いをしているとき、流れでツイストリフトをした相手がいた。三浦璃来だった。
「言葉には表せない、相性というのがあるんだ」
正式なトライアウトの前に一度試したときのツイストリフトの感触は忘れがたい。
「言葉には表せない、相性というのがあるんだなと思いました」
トライアウトを経て三浦のオファーを承諾し、2人は2019年8月、ペア結成を発表。
そこから3カ月、東日本選手権出場を経て、迎えたNHK杯。ショートプログラムで、初めてみる60点台(62.41点)という得点をみて、木原の言葉が弾んだ。
「世界的にはまだまだですけど、60点という壁をずっと越えられなかったので」
続くフリーでも117.53点と、総合でも179.94点、かつて見たことのない得点を並べた。
「(ペアに)向いていないかなと思っていましたけど、やればできるんだと自信が増えました」
結果、NHK杯は5位。下位にいるのが当たり前だったグランプリシリーズにあって、ようやく到達することができた順位だった。
得点や順位よりも、三浦とペアを結成して得られたものがあった。

