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坂本花織17歳「選ばれたら奇跡やな」緊張に震えた初五輪、「屈辱的なものを感じた」“代表漏れ”の低迷期も…日本フィギュア界のエースになるまで
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2026/02/28 11:00
3大会連続で五輪に出場し、ミラノ・コルティナ五輪では個人・団体ともに銀メダルを獲得した坂本花織。精神的支柱として日本チームを支えた
「メンバーがすごすぎたので『大丈夫かな?』と思いました。しかも滑走順が(カロリーナ・)コストナーさんの次なんて……」
それでも「自分の滑りをしよう」と開き直り、わずかなミスに抑えきって6位でフィニッシュした。緊張と対峙しつつ克服できたのは「成績を残したいとか欲がなかった」のが大きかったが、入賞という一定以上の結果を残したことが日本代表としての自覚と、次のステップへの意欲を促した。
まさかの低迷「屈辱的なものを感じた」
'18-'19シーズン、坂本はさらに階段を駆け上がる。グランプリファイナルに進出すると(4位)、全日本選手権で初優勝。世界選手権では5位ながら、フリーでの唯一のジャンプの失敗がなければ表彰台は確実だった。まぎれもなく地力が付いてきていた。失敗したジャンプを悔しがりながらも、「数年後には世界一になりたいと思います」ときっぱりと語った。しっかりと前を見据えていたはずだった。
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だが、順調にみえた足取りは突如暗転する。'19-'20シーズン、グランプリシリーズで表彰台に上がることができず、全日本選手権は6位に沈んだ。世界選手権(のちにコロナの感染拡大により中止)代表からも漏れ、坂本は思いもよらぬ1年を過ごすことになる。その理由も分かっていた。
「(前シーズンの)世界選手権にはすごい懸けていて、終わってからは解放されて緩んでしまい、そのままシーズンに入って過ごしてきたかなと思います」
環境の変化もあった。坂本が大学生になったことで、周囲は練習内容もふくめてある程度本人に任せるようになった。自立を促す目的もあっただろう。だが、世界選手権後、緊張の糸を弛めた状態にあった坂本にとって、その環境は災いした。


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