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坂本花織25歳“ウラで後輩を助けていた”…中井亜美らへの情報提供、試合前日もりくりゅう生観戦「何か力になれれば…」だから日本フィギュアは強かった
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/21 06:00
ミラノ五輪女子シングルで銀メダルを獲得した坂本花織ら、日本フィギュアのメンバー
涙を止めた回答「悔しいって思えるくらい…」
得点はフリー147.67点での、総合224.90点。首位のアリサ・リウと1.89点差での暫定2位が表示される。涙をこらえながら何度もうなずき、リウのもとへ行き、お互い抱き合った。
「トウループを跳んでたらな、というのは正直ありました。でも、やってしまったことはもう取り返せません。あとは切り替えて、(中井)亜美ちゃんを応援しようと思いました」
最終滑走の中井は、冒頭に見事なトリプルアクセルを決める。初出場の17歳が、五輪の舞台を全身で楽しむ姿に拍手を送った。
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最終順位が銀メダルで確定する。1位のリウと、3位の中井が、お互いのメダルを喜び合ってハグを交わす。その後方で、改めて自身が2位に終わったことを痛感する。せきを切ったように涙が溢れ、しゃがみこんだ。
「金メダルを目指してました。それが取れなかったんだっていう悔しさが、こみあげてきました」
表彰式では笑顔を見せたが、インタビューで語りだすと再び涙が溢れた。
「全日本選手権とか世界選手権とか、ここ一番っていうところで今まで決めてきた分、『なんでここで出せなかったかな』というのが、正直あります。悔しいです。何であそこでああなってしまったかなっていうのは、本当にちょっとまだわかんないです」
しかし、いつまでも泣いてはいなかった。覚悟をもって臨んだ五輪である。「自身のキャリアの中で、どんな意味の銀メダルだったか」と聞かれると、表情を引き締めた。
「今シーズンでの引退を決めて頑張ってきて、最後の最後でやりきれなかったのは心残りではあります。でも、こんなに悔しいって思えるぐらい頑張ったってことだし、この悔しさを次のキャリアの糧に出来たらいいなと思います」
引退…「オリンピックにふと現れるかも」
そして、こう宣言する。
「銀メダルが決まって、中野先生から『あなたが銀になったんだから、今後はあなたがオリンピック金メダリストを育てていきなさい』って言われました。自分自身がコーチとして教え子をメダルに導いていけるように、全力でサポートしていけたら、またオリンピックにふと現れるかもと思います」
もちろん銀色の輝きを受け止めるには、まだ時間がかかるだろう。それでも、悔しさを新たな夢へと変えようとするポジティブさが、坂本らしさである。団体戦と個人戦、2つの銀メダルは、坂本の“スケート愛”への讃歌となった。

