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「朝5時起き、深夜12時まで仕事も…」絶好調大関・安青錦を支える相撲部屋のおかみさんとは? 安治川部屋・絵莉夫人に聞く「私は親方が好きだからこそ…」
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佐藤祥子Shoko Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2026/02/20 11:02
昨年11月、大関昇進の伝達式を控え、笑顔を見せる安青錦(中央)。左が安治川親方(元関脇安美錦)、右が絵莉さん
そこで従来の部屋の後援会組織とは別に、「一般社団法人 相撲振興普及会」を設立した。
「これは後援会の方のお勧めでした。簡単に言いますと、現役力士を応援してくださるのが後援会だとすると、引退後の力士の人生も応援してもらえるように考えた組織なんです。親方は相撲のことは全責任を持っているけれど、もし力士が30歳で現役を引退するとしたら、その後の人生のほうが長いですよね。そのために元力士を就業させていただく企業を募るなど、セカンドキャリアの選択肢を増やす。そんな取り組みができたらいいのでは――との主旨なんです。お相撲さんって体力があって力持ちなだけでなく、共同生活のなかで協調性もあるし、日ごろから関取の身の回りの世話に慣れていて、臨機応変に動けたり、調整能力もある。『こんなに出来る人たちってなかなかいない。貴重な人材だな』と私は思っているんです。いずれは胸を張って『安治川部屋の力士でした』と次の人生を歩んでほしいですし、少しでもフォローできたらいいな、との想いからなんです」
「私は親方が好きだからこそ…」
さらに、ほんわかとした笑顔を携えて、おかみさんは言う。
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「私は親方を尊敬していて、親方が好きだからこそお手伝いをさせていただいてる。けっして前に出すぎないよう支えていきたいです。出会った頃は、『この人、面白い人だな』と思っただけで、まさかお相撲さんと結婚するとは思っていなかったんです(笑)。将来相撲部屋を持つなんて話もなかったですし、私は相撲のことを何も知らないからこそ、何も怖くなかったんですよね(笑)。これから安青錦に続いて第二第三の関取が出てほしいですし、安青錦のお陰でいろいろな経験をさせてもらっていますが、誰でも経験できることではない。親方との縁ももちろんそうですし、安青錦との縁、弟子たちとの縁、周りの方すべてのご縁を大切にしていきたいです。今まで、ゼロから一歩一歩進んできていますし、これからは親方の理想とする部屋に近づけていきたいんです」
そうキッパリと口にする。大きく綺麗な瞳を持つおかみさんだが、ひとたび笑うと目尻が下がる。
「よく親方に顔が似てると言われるんですよ。結婚13年で、似てきちゃったのかなぁ(笑)」
相撲界の古きよき伝統を受け継ぎながらも、親方との二人三脚で新しい歩を進めていく、優しくて頼もしい“令和の”おかみさんだ。

