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「朝5時起き、深夜12時まで仕事も…」絶好調大関・安青錦を支える相撲部屋のおかみさんとは? 安治川部屋・絵莉夫人に聞く「私は親方が好きだからこそ…」 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byJIJI PRESS

posted2026/02/20 11:02

「朝5時起き、深夜12時まで仕事も…」絶好調大関・安青錦を支える相撲部屋のおかみさんとは? 安治川部屋・絵莉夫人に聞く「私は親方が好きだからこそ…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨年11月、大関昇進の伝達式を控え、笑顔を見せる安青錦(中央)。左が安治川親方(元関脇安美錦)、右が絵莉さん

「安青錦が関脇に昇進して初優勝した昨年11月以降、加速度的に忙しくなっているんです。親方とふたりで、しみじみ喜びを噛みしめたこと――全然ないんですね(笑)。もちろんすごいことですし、嬉しいんですけど、すべて初めてのことばかりで『ええ? こういう場合は、どうしたらいいの?』ってバタバタするばかりで」

 部屋に数々の慶事をもたらした安青錦の入門時を、おかみさんが振り返る。現在の安治川部屋の建物が完成するまでは、仮設の部屋としてマンションの一室を借り、安青錦は、親方ともうひとりの弟子との3人の生活だったという。

「当時と比べて、日常会話は語彙数が10倍以上に増えていると思います。賢いし、すべてにおいて吸収の速度が違うんですね。相撲に対して本当にストイックで真面目。最初のうちは特に大変だったと思うけれど、よく乗り越えられたと思います。これはウクライナの国民性なのでしょうか、明るく牧歌的なところ――おおらかで、鷹揚としてるところもありますかね。なにごとにも研究熱心で、私からしても尊敬できる子なんです」

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 安青錦と連絡を取るLINEでは、日本語の文法や『てにをは』をあえて意識して文章を送るそうだ。そんなおかみさんに対して、安青錦は感謝を込めて言う。

「親方だけでなく、おかみさんも自分のために丁寧に時間を掛けていろんなことを教えてくれるんです。3人の子どもの子育てで大変なのに……。『“お父さんお母さん”というよりも、公の場では“父・母”との言葉を使ったほうがいいのよ』とか。最初の頃は病院などに行く時、いつもおかみさんが付いて来てくださっていました。ありがたい存在です」

ひとりひとりの弟子と話す「面談日」

 おかみさんは、年6回ある本場所後に、必ずひとりひとりの弟子と向き合う「面談日」を設けているのだという。

「集団生活のなか、なかなか話しにくいこともあるでしょうし、遠慮もあると思います。だから『最近、どうなの?』という感じで、時に話し込んで1時間にもなりますね。内容は人間関係についてだったり、ケガや体の治療のことで『こんな病院がいいんじゃないか』などとアドバイスしたり、みんな何事も隠さず話してくれている感じです。どんなに忙しくてもこの時間は大切にしたいんです」  

 母親代わりと言われるのが相撲部屋のおかみさんだが、

「自分の子どもたちも丁寧に育てられているのかわからないですし、今は『ま、とりあえず元気でいてくれればいいか!』って状態なんで(笑)。でも、今の時代は一人っ子のご家庭が多いんです。『大事なお子様を大相撲というコンタクトスポーツの世界、それも全員が出世して関取になれる保証もない厳しい世界に、よくぞ送り出してくださった』と親御さんのお気持ちを考えるんです」

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