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補欠の野球部員“18歳で単身渡米”で人生激変「TOEFL12点でした」平安の応援団長だった高校球児がMLBカブス鈴木誠也の右腕になるまで
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJMPA(Seiya Suzuki), Fumiya Nakata
posted2026/01/28 11:03
WBC日本代表に選ばれた鈴木誠也。その活躍を支えてきたのがMLBカブスの中田史弥トレーナーだ(写真右/2024年プレミア12の練習風景)
ロングビーチ校で3年半、つまるところ7年をかけてNATA-ATCを取得した中田は、卒業した後もアメリカに残って母校で女子のサッカーや女子の水球のヘッドトレーナーを務めた。UCLAにある世界でも有数のトレーニングセンター「アコスタ」にも勤務した。
帰国した時は29歳。10年間にもおよぶアメリカ生活。高校を卒業したばかりの、しかも野球に明け暮れていた青年が異国の地で暮らすことは決して容易なことではない。多様な経験を積んだ中田のもとにはさまざま仕事が舞い込んだ。石川真佑らがいた女子バレーU20日本代表では史上初の世界選手権優勝(2019年)に貢献。Bリーグの京都ハンナリーズにも所属した。
転機は2020年。社会人野球の東京ガス硬式野球部のトレーナーを務めたことだった。監督・コーチへのプレゼンにはアメリカで学んだ分業制のエッセンスを取り入れた。
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「トレーナーが一人でチームを見ることには限界がある。細かいところまで目が行き届かず、トレーナーの拘束時間も長くなる。時には属人的な働き方に依存してしまい、保身に走ってしまう。果たしてそれは本当に選手のためになるのか。だったら役割分担しましょう、と提案しました。私のようなコンディショニングに重きを置くATの他にも、ストレングス(筋力やパワーの向上)、治療を担当するメディカルなど、それぞれ持ち場がある。プロフェッショナルが集まってチームを形成できれば、より効率的にフィードバックできるし、ひいてはトレーナーのキャリア形成の一助になる。ただ、受け入れる側からすれば人数が増えると予算がかさみます。それを解決するために、並行してトレーナーの派遣事業を立ち上げました。理念に共感することを条件にフリーランスで契約し、それぞれの領域の専門家を一つのユニットとしてチームに派遣する。ウィンウィンの関係を構築しました」
東京ガスのパフォーマンスコーチに就任した中田は2021年に創部94年で初の都市対抗大会の優勝に貢献。ビジネス面でも、統括する「ボディアップデーション」は現在は約35人ものトレーナーと業務提携を結ぶまでに拡大し、プロの女子サッカークラブや大学、高校と人員派遣を実現させている。
トレーナーとしてもビジネスとしても一定の成果を残した中田は次のステップを模索し始めた。自らもトップランナーであるために、トップアスリートの個人サポートを強化できないか――そんなときに紹介されたのが、メジャー挑戦を模索する鈴木誠也だった。〈つづき→後編〉



