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“高市早苗首相の母校”が挑む「甲子園で1勝」への道…偏差値68の進学校が智弁学園をコールド撃破? フツーの公立校でも勝てる「番狂わせの方程式」
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田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/02/03 11:03
昨春の奈良県大会では智弁学園に7回コールド勝ちの番狂わせを起こすと、夏もベスト8まで進出した畝傍。公立の進学校という環境下でいかにして強さを保っているのか
試合での堂々とした佇まいは、ライバル校にも強く印象付ける。畝傍と並ぶ進学校であり、12回の甲子園出場経験のある郡山を率いる岡野雄基が感嘆の声を漏らす。
「試合での選手たちを見ていると、『やればできる』といった感覚を持ちながらプレーしているんじゃないかと思います。一つひとつの挙動からも選手たちから自信というか、そういった雰囲気を感じます」
チームの目標は…「甲子園で1勝」
雀部が監督になってからの畝傍は「甲子園で1勝」の目標を掲げている。
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智弁学園と天理。奈良には絶対的な強豪が君臨しており、甲子園への道のりが困難であることは百も承知である。
しかし畝傍には、文武両道の強みがある。「夏に奈良で優勝して甲子園」というシナリオはベストだが、「21世紀枠での出場を得るために勝つ」という選択肢もある。
「どうしても夏にフォーカスを当てがちですけど、『そういう出方もあるんだよ』と意識しているところもあります。目標を達成するために戦える力はありますから、甲子園に繋がる大会では『勝つために今からどうしていかなければいかんのか?』ということは、チームに問いかけていきます」
大願を成就させるためにすべきこと。
雀部が困惑するだろうとわかりながらも、あえてぶつけてみる。
――働いて働いて働いて働いて働くつもりで、母校を甲子園へ導く気持ちでしょうか?
昨年の新語・流行語大賞の年間大賞となった総理大臣の決意表明を引用すると、雀部はやはり「まぁ……まぁね」と苦笑いを見せながら、冷静に切り返す。
「目標をしっかりと見据えたアプローチはあると思うんで。すべてを効率化はできないでしょうけど、甲子園に一歩ずつ近づいていると実感しながらやれたらとは思います」
聞き手に流されない、監督の意思表明。そこには、迷いなき畝傍の甲子園への気持ちがあった。
一方で、畝傍は公立校ということもあり、当然グラウンドなどは他の部活と共有だ。強豪私学のように常に思うような練習ができるわけではない。予算の関係で設備面の不備ももちろんある。では、どんな工夫でそんな「逆境」を跳ね返しているのだろうか?
<次回へつづく>

