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「風間さん、泣いてたんだぞ」若手アイドルレスラーだった大向美智子がまさかの電撃移籍…本人が号泣告白した“引き抜き騒動”の全真相
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byTakashi Shimizu/東京スポーツ新聞社
posted2026/01/22 11:01
大向美智子が明かす若手レスラー時代、そして故・風間ルミとの記憶とは
今明かす、風間ルミとの別れ
――その理由は?
大向 FMWと絡みはじめて、ヒールとベビー(フェイス)の抗争に疲れちゃって、「ヒールにやられてかわいそうと思われるレスラー」っていう役回りが、すごい嫌だったの。いまならね、あれ(凶器三昧)もプロレスだってわかるよ。でも、当時の私は10代で若かったし、1回決めたら変えない、頑固者だから。そしたら、次は神取さんが寮まで説得に来たけど、(自分の考えが変わらなかったので)途中で帰っちゃって。最後の砦が、記さん(立野記代)と(ハーレー)斉藤さん。ファミレスに連れていってもらって、そこで初めて、「風間さん、おまえのために泣いてたんだぞ」って、斉藤さんから聞かされて……。あんなに言いあって、ブチ切れてた仲なのに、「私たちの前では泣いてたんだから」って……。初めてね、それを聞かされて……(大粒の涙をこぼす)。
――……。
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大向 「いっつも、『ちゃまこ(大向の愛称)が、ちゃまこが』って言ってるんだから。酒飲んでたら、ちゃまこの話しかしないんだから」って……。そういうことを……聞かされたときに……。私は……なんてバカだったんだろうって……。
――……。
大向 斉藤さんといえば、見た目だけじゃなくて、言動も格好よくてね。まだ私がいちばん下っ端だったころ、いつも先輩におごってもらってばかりだったから、財布を出したのね。そしたら、「私が格好悪くなるから、出すなっ! おまえに後輩ができたら、そのときにはおごってやれ」って言われたの。
――斉藤さんらしい。
大向 で、さっきのファミレスのときに戻るんだけど、記さんからは、「あんた、風間さんのためにプロレスやってるんじゃないでしょ?」っていうようなことを言われて、そこで頭が冷えたのね。付き人も、半田(美希)さんや(キャロル)美鳥さんら、めちゃくちゃ出来のいい人が歴代やってきたのに、私は風間さんが脱いだ服をたたまないとか、そっからだから(笑)。洗濯だって、ポケットにレシートが入ったまま洗ってしまって、「前代未聞」「ほんっと手がかかる!」「ちゃまは教養がないから、そこから教えなきゃ」とか、いろいろ言われた。
移籍後は、目も合わせてくれなかった
――思いだすと泣いてしまうほどの存在だった風間さんの元を離れて、97年にアルシオンに移籍しました。当時は、全女を退所してアルシオンを創始したロッシー小川(現、マリーゴールド代表)さんの「引き抜き」と報じられましたが。
大向 これは、第1回目の「ジュニアオールスター戦」(96年5月18日、大田区体育館)までさかのぼるんだけど(※大向はメインイベントで白鳥智香子とタッグを組んで、里村明衣子&玉田りえと対戦)。あのころのLLって、すごくバカにされてたのね、特に全女から。メインに抜てきされたときは、とにかくLLをバカにされない試合をやりたくて、結果的に里村から3カウントを取れたけど、このカードを組んだのが(全女の企画広報部長だった)小川さん。このあとに、さっき言った“やめる・やめない問題”があって、抗争に疲れたときに、私がダメなんだってネガティブになってたあたりで、小川さんがひとこと、「大向美智子には可能性があるよ」って言ったの。さらっと。
――それは、小川さんが全女をやめたあと?
大向 だと思う。すごくシンプルなのよ。そのひとことで、急にポジティブになった。風間さんと神取さんに移籍の話をして、納得してくれたから、円満(退社)だったけど、風間さんの心のなかではやっぱりね、(わだかまりが)あっただろうね。(移籍後に)いろんな会場で会ってあいさつしても、目も合わせてくれないとか、あったからさ。でも、そこで負けちゃいけないと思ったの。自分がアルシオンを選んだことは失敗じゃない、これが正解だったと思わせなきゃいけないから。(団体内の)対戦相手にはアジャ(コング)様がいて、同期がいて、毎日が闘いだったけど、そんななかでも私がやれた裏には、LLPWがあった。「大向、LLやめてダメじゃん」「LLにいたときのほうが良かったんじゃない?」って言われるのが嫌だったから、それがアルシオンにいたときのモチベーションだった。


