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「バレーはやってほしくなかった」現役最年長45歳・松本慶彦が春高バレー戦う息子にエール…“鉄人”が明かした父の本音「甘くないからね」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKoyuki Matsumoto

posted2026/01/07 06:01

「バレーはやってほしくなかった」現役最年長45歳・松本慶彦が春高バレー戦う息子にエール…“鉄人”が明かした父の本音「甘くないからね」<Number Web> photograph by Koyuki Matsumoto

日本代表の活動などで「一番かわいい時期を過ごせなかった」と子育てを振り返る松本慶彦(45歳)。息子・凛虎は高校生になり、現在開催中の春高バレーに出場している

 夫婦共通の知人から高身長の小学生を集めたエリートアカデミーの存在を知らされ、「未経験の子たちも来る」と誘いを受けた。行けば友達もできる。「じゃあバレーを始めよう」と傾くのも自然な流れだった。

 中学校に進学してからもバレーボールを続ける意思を持っていた。だが、ここで誤算が生じた。

 凛虎が通う中学校には女子バレー部しかない。バレーを続けるならば父の所属するブレイザーズのジュニアチームが真っ先の候補ではあったのだが、凛虎が「ここでやる」と選んだのは同じ大阪でも堺からは遠く離れた、しかもライバルチームであるパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)のジュニアチームだった。

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「仲良くなった子がパナのジュニアに行くから僕も、と。親としては複雑でしたね。だから一応『パパのチームもすぐそこにあるし、家から体育館も近いよ』と言ったんですけど、一切首を縦に振らなかった。そこまで言うなら仕方ないと観念して。ブレイザーズの方々にもちゃんと伝えました。練習がない日や練習後に間に合う時はパナソニックアリーナまで迎えに行くこともしょっちゅうありましたね」

名門・清風高校に進学

 本格的にバレーボールを始めた息子に「ああしろ」「こうしろ」と口を出すことは決してなかった。むしろ、自身も現役選手としてコンディションを調整し、ベストなパフォーマンスを発揮するためにやらなければならないことがある。進路に関しても基本的には息子自身と妻に任せた。セッターとして清風高校から誘いを受けた時も、選択を尊重して「がんばれ」と送り出すのみ。今もそのスタンスは変わらないという。

 清風高校は春高バレーに11年連続で出場を続け、2019年には準優勝、2020年、2021年にもベスト4進出を果たす強豪校。簡単に試合に出られるほど甘くはない。2年時からベンチ入りの機会も増えたが、現在のチームでメインセッターを務めるのは後輩の2年生・森田陸だ。

 可能な限り試合会場に足を運び、息子の活躍を見たいと願う父の思いはある反面、一人の選手としてトップの世界に身を置き続ける松本は、誰よりもその厳しさを理解している。

「どの家も自分の息子がかわいい。試合に出てほしいし、使ってほしいと思いますよ。でも、そこは僕も妻もシビアなので。凛虎よりもうまい選手が試合に出るのは当然だし、そもそもチームである以上、誰を出すか、ベンチに入れるかを選ぶのは監督です。だからたとえ試合に出られなくても不満も文句もないし、親は変わらず応援するだけ。むしろ息子に対しては、上を目指すならもっと厳しく取り組んだほうがいいと思うこともあるし『(上の世界を)なめるなよ』と思うこともあるぐらい。

 もちろん、本人もわかっていると思いますけど、この先もずっと嫌でも比べられるわけじゃないですか。だから息子に対して『周りはお前のことを“できる”前提で見るよ。そこでできなくて恥ずかしいのはお前だし、試合に出られないからとただ日々を過ごしていたら終わるからね』と言ったこともある。しんどいと思いますよ。でも、これから進もうとしているのは、甘くない世界ですから」

 父の言葉は息子にどれだけ伝わっているのか。高校最後の春高バレーを戦う凛虎は、父への思いを初めて語った。〈つづき→後編

#2に続く
「お父さんと対戦したい」父はバレー界のレジェンド松本慶彦…清風セッター松本凛虎が目指す春高制覇「服を脱いだら“ゴツくなったな”と言われた」

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