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「バレーボールが嫌いになることもあった」“春高の申し子”水町泰杜(24歳)の原点…背負った者だけが知る「鎮西の3番」の重圧とは?
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORT
posted2026/01/04 17:00
鎮西高校のエースとして春高バレーで活躍した水町泰杜(2020年1月撮影)。24歳となった現在はインドアとビーチの二刀流で活躍している
2年生での主将、エースという重責ある立場は羨望だけでなく嫉妬の感情を向けられ、投げやりになったこともあった。「周りの人からどう見られているかとか、周りの反応ばかり気にしてバレーボールに注ぐエネルギーがなかった。バレーボールを嫌いになることもあった」と当時の心境を吐露する。
だがそんな時に「自分のやるべきことを見失うな」と叱咤し、苦しい時こそ強くなるチャンス、と水町に前を向かせてくれたのが家族の存在だ。
「僕が調子に乗ったり、間違ったことをすると、容赦なく怒られる。そのおかげで自分がどうすべきかがわかるんです。2年でキャプテンになって、いろいろ苦しかったですけど、その時も母親の『どんなに嫌なことがあっても、自分の価値を下げるようなことはするな』という言葉がすごく響いて。自分のことをどう思われたとしても、応援してくれたり、支えてくれる人たちはいる。だったらそういう人たちのために頑張ろうとシンプルに思えたんです。マイナスな感情に流されて、コントロールしようとする時間がもったいない、と割り切れるようになってからは、すごく楽になりました」
水町を大きく成長させた“完敗”
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雑音を封じ、鎮西の主将として臨んだ春高は、準決勝で大阪代表の清風高に敗退。2年連続でセンターコートに立ったのだから十分な成績ではあるが、水町には「結果以上にやられた」記憶しかないと苦笑いを浮かべる。
「トータルディフェンスに完全に負けた。あの時はぶっちゃけ、僕しか打っていなかったのでどうしようもなかったし、1対6でずっとしばかれ続けた印象しかない。負けた、やられたというだけでなく、かなりストレスがたまった試合でした」
ブロックを掻い潜った先にもレシーバーが待ち構える。実績があるゆえ、他校による水町対策は徹底されていた。

