濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「上谷は完全にバカにしてる。許せない」安納サオリが“隠すのをやめた”上谷沙弥への嫉妬「最初は言えなかったです。でも、認めざるを得ない」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/12/28 17:05
12月29日、安納サオリと上谷沙弥の一戦は、どのような結末を迎えるか?
「上谷はコズエンを完全にバカにしてますよね」
それでも挑戦表明に踏み切ったのはなぜか。
「このまま動かなかったら安納サオリは変われないと思ったんです。いや、上谷を倒しにいかなかったら安納サオリは終わると思いました」
悲壮と言ってもいい決意だ。今の安納はそれを隠さない。リングではクールなイメージだが、本来持っている感情は濃くて激しい。
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「自分も動こうとしていたんですけど、上谷も止まらなかった。どんどんメディアに出て話題を作って、そのたびに私は落ち込んで。
上谷はたむに勝って、なつみ(なつぽい)と玖麗(さやか)にも勝って。コズエンのメンバーが負けていくのを、私は見ているだけだった。上谷はコズエンを完全にバカにしてますよね。それは許せないし、スターダムの中心がヒールではいけない」
挑戦表明すると、上谷はこう言って安納をこき下ろした。
「最近、存在感なくない? 息してる? フリーの時のほうが存在感あったよね」
そんな言葉にも、今は頷くしかないと安納。この状況を変え、自分を変えるためには上谷に勝つしかないと腹を括った。昨年はフリー参戦から“専属”契約を結び、スターダムへの愛着は増すばかりだと言う。
「ワールド王座は、以前の自分には現実味がなかった。団体を引っ張る人が持つものですから。でも今は、自分がベルトを巻いてスターダムを引っ張りたいという気持ちが強いです。ベルトを巻けば、今以上に責任感が出てくると思いますし」
意地がむき出しになった前哨戦
前哨戦は激しく、かつ上谷と安納ならではの攻防が続いた。顔面蹴りの打ち合いは互いの意地がむき出しになっていた。
「これまで、上谷とはほとんど対戦してなかった。スターダムで一番やってない相手じゃないですか。でも前哨戦で闘ってみて、やっぱり倒しがいがある選手だなって。上谷を倒した先にどんな景色があるのか、それが見てみたい」
前哨戦ではイス攻撃まで繰り出した。
「キャリア10年、その経験をすべてぶつけて勝ちます」


