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「日本に帰ってくるつもりはない」全女・元アイドルレスラーの“知られざる今”…山崎五紀59歳がアメリカで経験した「命懸けの59時間出産」「家族との別居」
text by

伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byShiro Miyake
posted2025/12/30 11:08
立野記代との「JBエンジェルス」でも活躍した元全女プロレスラー・山崎五紀さんのインタビュー(第3回)
「ここ数年で、いろんなことがありました」
――まさに命懸けで出産した3人のお子さんは、もう社会人ですよね。
山崎 瑠夏はアメリカの高校を卒業して、日本の大学に入学しました。自分でなにかを切り拓いていくところは、すごく私に似てるなって思うことが多いです。武蔵はグローバルな展開をしてる会社の社員で、飛佑磨も同じくセールスマン。ボストンに住んでます。
――ご主人と別居しているということなので、現在家族4人はバラバラで住んでいる、ということになりますか。
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山崎 そうなりますね。
――てっきり、アメリカ・ニュージャージー州で一軒家に住んでいると思っていました。
山崎 もともと住んでいたのはマンハッタンだったんですけど、主人が「環境のいいところがいい」と言って、飛佑磨が2歳のときにニュージャージーに移ったんですよ。生活するには良かったんですけど、以降のここ数年で、いろんなことがありましたから……。
――なにがあったんですか。
山崎 んー。いつかはちゃんと話せるときが来るかもしれませんけど、いまはまだちょっと……。
――わかりました。そういう実情を、3人のお子さんたちにはどういう言葉で説明していますか。
山崎 「ママに遠慮はしないで。いまのあなたたちにとっては、時間は必要だと思う。年月がたって、(パパと連絡を取りたいけど)ママの手前……とかは、まったく思わなくていいよ。なぜなら、みんながもう社会人だから。自分で考えて、自分の付きあい方をすればいいよ」と。今年の6月ぐらいかな、「いろんなことがあったけど、あれからもうすぐで1年だな」とふと思って、「立ち直ったなぁ、私」と思いましたよ。娘からは、「あのときはほんとにママが心配だった」と言われるほど、落ちてたときもありましたけど。
「日本に帰ってくるつもりはないです」
――現在はどういう生活で。
山崎 知人の一軒家の1部屋を借りて、3年ほど住んでます。アメリカではそのまま変わらず、日本料理店で働いていて、フロアもキッチンもやってます。寿司を握れないだけで。息子2人がアメリカにいますから、日本に帰ってくるつもりはないですね。むこうでは助けてくれる人に恵まれてますし、海育ちだから海が好きなので、趣味でね、スキューバダイビングのライセンスを取りたいとか思ってるし。記代と2人で11月にニューヨークでサイン会、12月(1日、新宿FACE)には日本で結成40周年の興行をやれて、こういう時間をいただけたことは、ありがたいですよね。
――今日は、おそらく話したくないであろうことまで語っていただいて、ありがとうございました。
山崎 生きていれば、人はいろんなことがありますよね。それが大きいか小さいか、浅いか深いかの違いで。子どもたちからは、「ボクたちがママを守ってあげるから大丈夫」って言われてるけど、いつになるかわからないけど、早く孫の顔が見たいなぁと。まぁ、こればっかりはね、言うとプレッシャーになっちゃうから、言わないけど。あと、いまドキュメンタリー映像「空飛ぶ天使のバラード」(ANGELS OF VIOLENCE & Grace)を撮ってもらってるんですよ。JBを中心とした全女で、先輩や後輩のお力を借りて、去年からカメラを回されてるんです。プロデューサー的には、2027年の世界配信を予定しているみたいなので、そうなればまた、日本のファンの方にJBエンジェルスを思いだしてもらえるかなと思ってます。
(撮影=三宅史郎)


