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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
優勝を逃し「けじめをつけなければ」三浦大輔・前DeNA監督が初めて明かす、横浜で目指したもの…「当たり前のことを当たり前にできるチームに」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/12/22 11:03
2025年リーグ2位に入りながらも監督を辞任した三浦大輔。ロングインタビューに応じ、DeNAへの思いを明かした
「本当、現役時代からそうやって戦ってきましたし、言っていることと行動が伴わなければ格好悪いじゃないですか」
たしかに、そんな格好良くない三浦を見たくはないし、似合わない。現役時代もそうだったが、そこには譲れない男の美学がある。
監督時代、もっとも印象深いのは?
三浦にこの5年間で一番印象深い出来事を尋ねると、交流戦優勝でも日本一でも優勝パレードでもなく、監督初年度(2021年)の1勝目を挙げた。
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意気揚々と挑んだ監督としての船出で、いきなり6連敗(2分けを挟む)を喫してつまずいてしまう。これは新人監督としては2リーグ制以降ワーストタイとなる記録だった。ファンからは厳しい声も上がり、三浦もまた眠れない日々を過ごした。「どうすれば勝てるのだろうか」と、答えがありそうで見つからない曖昧模糊としたものに向き合い、監督としての洗礼を味わった。
そして9戦目となった4月4日のヤクルト戦で、監督として悲願の1勝目を挙げた。三浦は、懐かしそうな表情を浮かべ言った。
「初勝利まで本当に長かったですね。監督になる前、心のなかで描いていたことが、外から見るのと実際やってみるのではまったく違いました」
この年はシーズン途中で10連敗を喫するなど苦闘の果てに、最下位に沈んだ。一見すれば負の歴史かもしれないが、ここに三浦の監督としての原点がある。理想と現実との違い。そこに一体なにを見たのだろうか。
「1年間戦う上で、采配もそうですし、チームのマネジメントもしかり、ファーム監督や投手コーチで感じていたこと、それと解説者として話していたことが、まったく当てはまらなかったんです。とにかく一番はスピード感ですよね。解説席で見る試合と、采配を振るう試合では、まったくスピード感が違っていたんです」
解説のときは好き勝手言っていたなあ(苦笑)
状況により常に動いているベンチという現場。三浦は息つく暇なく次から次へ決断や判断をしていかなければならなかった。
「解説のときは、まあ好き勝手なこと言っていたなあと反省しましたよ(苦笑)。例えば現役時代、もっと投げさせてくれ、ここで代えるのか、と思うことが多々ありましたけど、実際監督となり決断する立場になると、そうだよな、そうせざるを得ないよなって思う部分が少なからずありました。また、その決断や采配に関してメディアに言えないことも多かったですしね」

