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「10年前のドネアだったら…」激闘王・堤聖也vs43歳ドネア死闘12ラウンドを英国人記者はどう見た?「ツツミは幸運だったと思う」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/12/20 06:00
ノニト・ドネアに判定勝ちを収め、2度目の防衛を果たしたWBA世界バンタム級王者・堤聖也
正直に言うと、私はドネアがもっと衰えていると思っていた。2023年7月に行ったアレハンドロ・サンティアゴとのWBC世界バンタム級王座決定戦では、ドネアの基準からすると非常に出来が悪かった。ただ、今回の試合では明らかにその時よりも良かったように思う。動きも鋭く、パンチにキレもあった。キャリアのこの時点でのドネアにこれだけの力が残っていたことには驚かされた。
ツツミは幸運だったようにも思う。相手が43歳のドネアだったからだ。33歳のドネア、あるいは2019年の年間最高試合でイノウエを地獄に引きずり込んだ頃のドネアだったら、ツツミはより厳しい戦いを強いられていただろう。あのバージョンのドネアなら、今回のような展開になっていれば、ツツミは完全に飲み込まれていたのではないか。今のドネアはもはや“ベテラン”と呼び得る領域も超えている。43歳で、プロ24年のキャリアを持つ選手なのだから。対戦したのが全盛期の“フィリピーノ・フラッシュ”ではなかったことは、ツツミにとってラッキーだったと言っておかなければならない。
評価を上げた“勇敢な姿勢”
ただ、ツツミは正真正銘のウォリアーだ。2月に行ったダイゴ・ヒガ(比嘉大吾)との前回の防衛戦でも、特に9ラウンドは年間最高ラウンドの一つだった。互いにダウンを奪い合った、とてつもないラウンドだった。そして今回も後半戦にすさまじい追い上げを見せた。
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とにかく勇敢で、前に出る。下がらない。諦めない。どの選手も試合の展開をある程度想定しているものだが、ツツミ陣営は、ドネアがあそこまでやるとは思っていなかったはずだ。サンティアゴ戦を見ていれば、「全盛期ではない」と考えるのが普通だ。ああやってポイントを奪われるのは誤算であり、予想外の形での劣勢から立て直すには相当な力が必要だ。その点で、ツツミは称賛されるべきだ。後半、結果を出さなければいけないプレッシャーの中で、それをやってのけた。


