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“女子初の快挙”へ…上谷沙弥はプロレス大賞MVPを受賞できるのか? 発表直前に聞いた“本音”「正直怖い気持ちも…女子プロレスの未来が変わる」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/12/15 17:01
プロレス大賞MVP候補の上谷沙弥。12月29日には両国国技館で安納サオリの挑戦を受け、1月4日には朱里と東京ドームで戦う
「サオリちゃんが、沙弥様をこんなふうに思ってくれてたなんて、初めて知ったから沙弥様、超大興奮。もっといじめたくなっちゃった。でも、今さらスイッチ入ったようだけどオマエがスターダムで埋もれている事実は変わんねえからな。だって、コズミックエンジェルズはユニットとしてまったく機能してないし、この前タッグリーグで優勝したさくらあや、玖麗さやかよりも存在感ない。それにさ、何回か前哨戦やったけど、オマエにスターダムを背負う覚悟なんか全く見えない。それにこの前の後楽園ホールだって最後に舞華に全部持ってかれてる。それでさ、このかわいい顔も、最近ブースー! しかもさ、オマエ超いい子だよねえ。このお行儀のいいサラリーマンレスラーが、ハハハハハ!」
ここまで言われて、安納が黙っているはずもなかった。互いに罵り合い、やがてドレス姿でつかみ合いになった。怒声が飛び交っていた。
プロレス大賞MVPへの本音「正直怖い気持ちも…」
上谷は冷静に話した。
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「危機感? そんなものないよ。私は誰にも負けないものを手にしたと思っている。上谷沙弥という存在を脅かされるということはない。だから存在感に関しても、勝敗に関しても危機感なんかない」
上谷は12月8日の8人タッグマッチで舞華にフォールを許した。安納の後には朱里戦が続く。スターダムでは「上谷包囲網」ができつつある状況だ。上谷はこれを乗り越えられるのだろうか。
「危機感がないっていうのは、別に余裕をこいてるというわけじゃなくて、自分が積み重ねてきたこと、練習も、プロレスも、すべてにおいて気を抜かずやってきた自信があるからだよ。確かに復帰選手も増えてきている。今はH.A.T.E.というヒールが黒く輝いている。それを脅かすベビーフェイスが出てきてほしいと思っていたから、ちょうどよかったよ。久しぶりの黒星だったけれど、思い出したよ。舞華とは新人の頃からやりあってきたからな。これから赤いベルトをかけてやっていくことになるんだろうな」
上谷が狙っているプロレス大賞MVPの発表は12月17日だ。
「いざ発表が近づいてくると、正直怖いという気持ちもある。ここでMVPを女子である私が取るか取らないかで、女子プロレスの未来が左右される部分があると思うから、そういった意味で怖いんだよ。もちろん、MVPを沙弥様がいただいて、スターダムの東京ドーム大会開催への弾みにしたいと思っている」
「今年、私がやって来たことは誰にも負けない自信がある。フラットな目で見て、そう誰が見ても、実績でも、私だと思うよ。これでもし評価されなかったら、プロレス界ってそこまでなんだな、って思ってしまうな」




