第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER

「2区でリベンジしたい」伯父も父も箱根駅伝ランナーの順天堂大学・玉目陸が誓う“本領発揮”と総合5位への誓い 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/12/18 10:00

「2区でリベンジしたい」伯父も父も箱根駅伝ランナーの順天堂大学・玉目陸が誓う“本領発揮”と総合5位への誓い<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

前回の箱根駅伝では、1年生ながらエース区間の2区を走った玉目陸

 ただ、復活に向けて光は差していた。そのきっかけは箱根駅伝予選会にあった。

「父親が見に来てくれて、僕ががんばっているけど苦しんでいるのを分かってくれていたので、『悩んでも苦しんでもいいから、諦めなければそれでいいよ』と言ってくれました。それで『諦めずに、ただ頑張ろう』と思うことができました」

 高校時代の恩師でもある父・隆博さんの言葉に我に返り、楽しんで走るのを忘れていたことに気づいた。

「たとえば、1年生の時に走った甲佐10マイルでは、自分の“楽しい”というエネルギーを内側から溢れさせて走るようなイメージがありました」

 きっかけをつかんだ玉目がようやく復調の兆しを見せたのが、11月末に行われた日本体育大学長距離競技会の10000mだった。

「みんなが待ってるぞ」

 長門俊介駅伝監督にそんな言葉で送り出された玉目は、寮で同部屋の先輩、吉岡大翔(3年)と共に上位でレースを進めた。

「待ってくれているみんなを笑顔にさせたい、びっくりさせてやろうっていう気持ちでスタートしたら、うまく楽しめました」

 そこには思い悩んでいた玉目の姿はなかった。レース中には笑みを浮かべたように見える場面もあった。

 そして、自己記録にあと約3秒と迫る28分16秒41の好記録で走り切った。28分8秒02の自己ベストで走った吉岡には先着されたものの、箱根駅伝に向けてようやく調子を取り戻したと言える。

駅伝一家の誇りをかけて

「箱根駅伝は僕にとって何よりも大事なもの。ちっちゃい頃からずっと見てきた大会なので、特別な思いがあります。今季は苦しんだのですが、苦しい時も『箱根駅伝さえうまく走れればいい。1年に1回でも走れればいい』という気持ちでやってきたので、自分の持てる全てをぶつけたいです。良い状態であることは確認できたので、さらに磨いて本番で発揮したいです」

 2度目の箱根駅伝で、この1年の鬱憤を晴らす走りを誓っている。

 父・隆博さんは日本体育大学で箱根駅伝の3区と7区を走っている。また、伯父の本川一美さんはかつて順大の大エースで4年連続の2区を担い、2年時には区間賞にも輝いている。玉目に希望区間を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「個人的には2区でリベンジしたいんですけど、チームあっての駅伝なのでどんなところでも自分の良さを最大限出して良い走りができれば。伯父は2区しか走っていませんが、2区以外だったら父親が走った3区も走ってみたいです」

 いずれにせよ、玉目の復活はチームにとっても明るい材料だ。目標の総合5位以内に向けて、役者はそろった。

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