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「年俸1億円ダウン」ソフトバンク柳田悠岐“38歳で引退”、撤回のウラ側「足の指に激痛も…」阪神・石井大智から衝撃弾、日本一“3日後”に練習再開の意味
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNanae Suzuki
posted2025/12/09 06:01
ソフトバンク柳田悠岐37歳、引退撤回のウラ側とは
「フライにするにはストレートよりもツーシームを強引に振り上げること。ただ、あの局面ですから、厳しいところに投げてくるのは分かっていました。だから僕も彼の最高のボールをイメージしたんです。その前にもツーシームが来たんですが、真ん中付近だった。逆にバットを折られてファウルになりましたから。厳しい“最高のボール”だから打てたんです」
相手ピッチャーの“最高のボール”を敢えて待って、それを打ち砕く。
球界最高峰とされる打者に共通するものを感じさせた一発だったのだ。
日本一から“3日後”に練習開始
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日本一になった後、柳田は「2、3日は休んだ」だけで来シーズンに向けたトレーニングを続けているという。ウエイト系はもちろんランニングや素振りも欠かさない。2024年のシーズン前から「かっこよくて、強くて、動ける」を目指し、懸命にトレーニングを行ってきた。サラブレッドを思わせる引き締まった体を見れば明らかだ。
「トレーニングを続けてきた成果はあったと思います。じゃないと、たぶんポストシーズンは打てていない。準備が生きました」
ただ、柳田は豪快に笑い飛ばして、こんなことも言った。
「衰えてますよ。でも、打てます。技術は増してると思います」
現役続行表明をしたものの、あくまで結果を残せばという話だ。球団もチームメイトもファンも、そして自分自身も納得する2026年を送ることが大前提である。
「ここ2年、試合に出ていない。1年間出続ける大変さも分かりますし、まして年齢を重ねてから1年間出る経験をしてないので、そこは本当に未知の領域になります。だからこそ、しっかりと準備をして、そこを乗り越えたいなって思いますし、それを乗り越えれば先が見えるんじゃないかなと思うので、まずは来年、しっかりやりたいです」
チーム最年長だが、まだまだ老け込むつもりなどない。逆に若手のように――。
「立場はレギュラーじゃないと思っています。『俺を使え』っていう風に思いながらプレーできれば、自分のプレーにつながると思います」
ちなみに目指すタイトルは「カムバック賞です」とのこと。本人はいたってマジメに語ったつもりだろうが、報道陣の笑い誘うのは流石である。愛すべき天真爛漫な“超人ギータ”を、我々はいつまでも見ていたいのだ。

