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「年俸1億円ダウン」ソフトバンク柳田悠岐“38歳で引退”、撤回のウラ側「足の指に激痛も…」阪神・石井大智から衝撃弾、日本一“3日後”に練習再開の意味 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/12/09 06:01

「年俸1億円ダウン」ソフトバンク柳田悠岐“38歳で引退”、撤回のウラ側「足の指に激痛も…」阪神・石井大智から衝撃弾、日本一“3日後”に練習再開の意味<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ソフトバンク柳田悠岐37歳、引退撤回のウラ側とは

二軍でも打てない時期あった…

 リハビリを経てなんとか8月末に実戦復帰するも、今度はファームで苦戦を強いられた。なかなか成績が出ず、加えて打撃は出来ても守備にはなかなか就けなかった。当初、小久保裕紀監督からは「代打」での昇格を検討していると告げられていた。レギュラーシーズン最終盤に一軍復帰を果たしたものの、二軍戦の成績は打率.225、0本塁打。それでも小久保監督は「(本当に万全になる)そこまでやっていたらシーズンが終わってしまう」と、チームの起爆剤的な意味合いも含んで昇格させたのだった。

 今季のレギュラーシーズンは自己最少の出場試合数だけでなく、全てにおいて満足できるものではなかった。それが一転、ポストシーズンで、柳田の言う“ああいう風”な華々しい活躍を見せた。

 クライマックスシリーズと日本シリーズの全11試合で安打を放ち、打率.378、2本塁打、5打点と打線を引っ張り日本一の立役者となったのだ。本人も「今シーズンの中でもクライマックスと日本シリーズのホームランは記憶に残っています」と話す。

圧巻だったポストシーズン…あの一発

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 特に全国の野球ファンが度肝を抜かれたのはソフトバンクが日本一を決めた日本シリーズ第5戦での一発の方だろう。0―2と劣勢の終盤8回表、阪神・石井大智から左翼ポール際へ値千金の同点ホームランの放物線を描いてみせたのだ。

「あ、ホームランになるなと思いました。追いつく一発になったので、なんとか今日で勝ちきりたいという気持ちになりました」

 打った相手は石井である。今季防御率0.17で、レギュラーシーズンから数えてこの日まで56試合連続無失点で、ホームランも2023年7月13日DeNA戦の牧秀悟を最後に実に145試合も許していなかった、“最も打たれない男”だ。そのスーパーリリーバーが投じた1球は失投には見えなかった。150キロストレートはストライクゾーンの外角低めいっぱいに決まっていた。バッターの目から最も遠く、コースもスピードもキレも伸びも申し分なかった。

 余談だが、2017年日本シリーズ第6戦でソフトバンク・内川聖一がDeNA・山崎康晃から土壇場9回に同点ホームランを打ったシーンが頭をよぎった。内川は山崎が最も得意としている内角低めギリギリのツーシームをすくい上げて左翼席へ運んだのだが、それを次のように自己分析していたのだ。

【次ページ】 日本一から“3日後”に練習開始

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