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失意の木原龍一の背中に、三浦璃来が手をあてて…GPファイナルで“対照的だった”りくりゅうそれぞれの思い「最後までやりきれたかな、って」
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2025/12/07 17:02
GPファイナルで優勝を果たした三浦璃来と木原龍一
ジャンプのミスはあった。それでも流れを失わずに、他に影響を及ぼすことなくやりきれた。実際、スピード感のある演技、流れの中でのリフトなどは2人ならではであった。その4分間に、感覚的には北京五輪以来の手ごたえがあったのだろう、それが自然と表れたガッツポーズであったし、歩みのたしかさを直感したからでもあった。
そしてパーフェクトではなかったからこそ、三浦はこう語る。
「(フリーの)パーソナルベストを更新できて、それでも小さなミスがちょこちょこあったので、まだまだ伸びしろがあるかなと思います」
ペアを結成した思い出のリンクで
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今大会が行われた名古屋は2人にとって思い出の地である。
2019年7月、名古屋市内にある邦和スポーツランドのリンクで2人はトライアウトを実施し、そこでペアを結成しスタートを切った。原点と言えるリンクで、今大会の前にも練習している。
「11月30日にカナダを出発して名古屋に12月1日に到着しました。オフィシャルアライバルデーより1日早く入っていたので、成瀬(葉里子)先生にご連絡して練習させていただきました」(木原)
成瀬氏はかつて、木原を長年見守ってきたコーチだ。
木原は続ける。
「私たちがチームを結成した地が名古屋なので、こうしてファイナルを優勝できたことは素晴らしいものだと思います」
昨シーズン末に取り戻した「楽しむ」という原点を大切に歩む今シーズン、原点である地で果たした優勝を糧に、さらなる成長を信じる2人は来年2月のミラノ・コルティナ五輪へと進んでいく。
(撮影=榎本麻美)

